NEW
平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

結婚したら税金が軽減される?意外と知らずに損している「配偶者控除」活用法

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 実は、所得税を計算するための「所得」の計算方法にその答えがあります。妻の給与収入が103万円の場合に、給与所得は次の通り計算します。

給与所得=給与収入-給与所得控除
    =103万円-65万円
    =38万円

 その他の収入がなければ、給与所得控除後の給与所得の金額が合計所得金額になります。給与の総額(額面)は「給与収入」といわれます。所得税は給与収入に対して課せられるわけではなく、ここから給与所得控除を差し引いた所得に対して課せられるのです。そして、103万円の給与収入からは給与所得控除65万円を差し引けることになっているので、合計所得金額が38万円になるというわけです。

 なお、「給与所得控除」は給与をもらっている会社員の方に認められている所得を減らす制度です。原則として、所得は「収入-必要経費」と計算するになっています。とはいえ、会社員が経費の集計をすることは難しく、経費の代わりに一定の金額を所得から差し引くことが認められています。これが給与所得控除額です。給与所得控除額は次の通り、収入金額によって決められています。

(国税庁ウェブサイトより)

合計所得金額38万円の場合の所得税


 ちなみに、合計所得金額が38万円になる場合、その所得に対する所得税はかかりません。所得からはさらに「基礎控除」38万円を差し引くことができるためです。つまり、給与年収(給与の額面年収)が103万円の場合、

所得 =給与所得-基礎控除
   =38万円-38万円
   =0円

となり、所得はゼロになります。そのため、所得税も0円となります。たとえば、妻の給与収入が103万円の場合、奥さんには所得税がかからず、夫の所得税の計算において配偶者控除も利用できる、ということになります。なお、給与の収入金額はその年の1月1日~12月31日までに支払われた金額です。また、月の給料だけではなく賞与も対象となりますので注意してください。

配偶者控除を受ける方法


 配偶者控除を利用するためには申請が必要です。会社員の方は、会社が年末にかけて行う「年末調整」の際に申請をすれば配偶者控除を利用することができます。年末調整は、会社が個人に代わって税金を計算して所得税を納付する仕組みです。そのため、会社が税金計算をする際に、事前に勤めている方に関する情報が必要となります。会社によって情報収集時期は異なると思いますが、年末調整は12月から年末にかけて行うため、通常は秋ごろに情報収集されると思います。

 具体的には会社から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」用紙が配布されるので、記入の上、会社に提出させることになります。記載フォームは下に掲載した通りです。多くの方が一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。「控除対象配偶者」を記載する欄がありますので、記載例通りに記載をして、勤務先に提出すれば、手続完了です。

(国税庁ウェブサイト「源泉所得税関係」より)

結局いくら税金が減るのでしょうか


 無事配偶者控除の適用を受けることができたところで、どれくらい税金が減額されるのでしょうか。配偶者控除の金額は38万円ですが、これは税金が38万円分減額されるという意味ではありません。実は収入の額によって減額される税金が異なります。なぜなら、配偶者控除は、「所得」を減らす制度だからです。

 たとえば、配偶者控除を控除する前の所得金額が400万円の会社員について考えてみます。配偶者控除を受けられない場合、下記の表より、「330万円を超え、695万円以下」に該当するため、400万円の所得に対して20%の税金が課せられます。

(国税庁ウェブサイト「タックスアンサー」より)

 一方、配偶者控除が使える場合、所得が

400万円-38万円=362万円

となります。そのため、20%の税金が課せられる所得が38万円減少し、362万円になり、

(控除前400万円―控除後362万円)×20%=7万6000円
  
の税金が減額されることになります。上記の(控除前400万円―控除後362万円)の部分が配偶者控除38万円に該当します。配偶者控除の額に税率を乗じた分が減額される税金ということになるわけです。

 ちなみに、住民税の計算にも配偶者控除があります。住民税の配偶者控除は上限33万円の控除があります(所得税の配偶者控除の適用がある方は33万円の控除となります)。

 住民税の税率は10%なので、33万円×10%=3万3000円税金が減るということです。また、年末調整で配偶者控除の手続きをしていれば自動的に住民税にも配偶者控除が適用されるため、住民税に関して追加の手続きはありません。

亮子「所得税は超過累進課税。課税される所得が195万円までは5%、195万円を超えて330万円までの部分は10%、330万円超695万円以下の部分は20%という具合に、所得が増えると税率が上がっていくんだよね」

啓子「その通りです。なお、所得税率を知るために必要な「課税される所得金額」は、源泉徴収票で確認することができます。源泉徴収票に記載がある『給与所得控除後の金額』『所得控除の額の合計額』の金額を確認してみてください」

亮子「『課税される所得金額=給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額』で計算できますね」

啓子「はい。そこから、自分の所得税率が何%のところまできているのか、確かめてみていただきたいです。それから、2037年までは上記の所得税に加えて復興特別所得税(その年の払う所得税の金額×2.1%分)を納付することになっていることを付け加えておきます」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

●徳光啓子
2009年 公認会計士試験合格
2011年 明治大学商学部卒業
2011年から2016年、有限責任あずさ監査法人に勤務し、主に上場の製造会社を中心に監査業務に携わる。
2016年から税理士法人タックス・アイズにて企業の各種税務申告業務や会計・税務コンサルティングを行う。また、茨城大学にて非常勤講師として原価計算論等の講義を行っている。

結婚したら税金が軽減される?意外と知らずに損している「配偶者控除」活用法のページです。ビジネスジャーナルは、連載、節税結婚配偶者控除の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!