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定年退職後の「家庭内管理職」夫が社会問題化…家族に指図&激高、心身を壊す妻も

文=喜屋武良子/清談社
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 さらに、自分の言動が家族や他人にどんな影響を及ぼすかを理解しようとしない「想像力の欠如」も、しばしば認められるという。そして、片田氏が「家庭内管理職に共通する傾向」として挙げるのが、「自己愛が強い」という点だ。

 自己愛が人一倍強い人は「認められたい」という承認欲求も強いので、定年退職して「会社という偉そうにできる場」がなくなると、満たされない思いにさいなまれる。そのため、家庭内で承認欲求を満たそうとするわけだ。

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 問題は、家庭は会社とは違うということだ。家庭における彼らは、もはや命令したり指示したりする立場ではなく、家族も彼らの部下ではない。

「つまり、承認欲求を満たせない環境に置かれているわけですが、家庭内管理職はその現状を受け入れられず、相変わらず家族に対して上司のように振る舞い、自分の欲求を満たそうとする。そこに、まず問題があります」(同)

 家庭内管理職に陥りやすいのは、現役時代に会社でバリバリ働き、多くの部下に指示していた人だけではない。やっかいなことに、現役時代にそれほど大きな成果を挙げられなかった人も、家庭内管理職になることがあるという。

「そういう人が陥りがちなのが、現役時代に『こうだったらよかったのに』と思っていた願望を現実と思い込む『幻想的願望充足』というパターンです。現役時代の自分が理想通りではなかったからこそ、定年退職後に自分自身を過大評価し、ことさらに『俺は偉かったんだ』と強調して、家庭内管理職として振る舞ってしまうのです」(同)

 そして、親が家庭内管理職の家庭で育った人の場合も、「同一化」というメカニズムが働き、自分も同じように振る舞う可能性が高くなる。会社で偉かったか否かにかかわらず、承認欲求をこじらせると、誰でも家庭内管理職に陥る可能性があるわけだ。

 家庭内管理職が家族に押し付ける命令は、「正論」に聞こえるかもしれない。だが、根底に潜んでいるのは「自分がいかにすごいか、認めてほしい」という願望のみである場合が多い。それだけに、彼らの言動に振り回される家族にとってはいい迷惑といえる。

定年後では遅い!家庭内管理職にならないために

 片田氏によれば、特に家庭内管理職の実害が大きいのが妻だという。

「子どもなら、経済的に自立すれば家庭内管理職の親と離れることができます。一方、妻は夫から逃げることができません。私の外来に通院している患者さんのなかには、夫が定年退職して以降、動悸が激しくなり、眠れなくなったと訴える女性もいます」(同)

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