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高橋篤史「経済禁忌録」

不祥事続く司法書士新宿事務所、不可解な動きが波紋…重い懲戒処分「逃れ」を意図か

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相次ぐ不祥事案


 新宿事務所は2008年に前出の阿部前代表によって設立された。1976年生まれの阿部氏は高校卒業後に海外を放浪、新聞配達など仕事を転々とし、28歳で一念発起して司法書士試験に合格したという変わり種。司法書士法人にもかかわらず自らの肩書を「社長」と名乗るなど、ビジネス指向が極めて強いことがその特徴だ。

 当初、過払い金返還請求業務は法律事務所MIRAIO、アディーレ法律事務所、ITJ法律事務所が御三家とされ高いシェアを占めていた。が、ピークアウトした10年頃からMIRAIOとITJは業務を大きく縮小、かわって大量の広告宣伝で顧客の掘り起こしを進めてきた新宿事務所が台頭、一時は2割ほどのシェアを獲得し、15年度には売上高が160億円にも達した。

 が、その頃から新宿事務所をめぐっては不祥事案が相次いで明らかになった。

 15年1月、東京簡易裁判所で驚くべき判決が下されている。裁判は阿部氏ら新宿事務所の所属・親密先司法書士6人が代理人となり、仙台市の女性が過払い金の返還を求めたもの。しかし、裁判の途中で裁判官が委任状の内容に不審感を抱き、職権によって東京簡裁に係属していた新宿事務所関連の事件を片っ端から調査した。その結果、裁判官は多数の委任状について「本人の意思に基づかないで作成されたことをうかがわせる」と結論づけ、訴えそのものを却下したのである。つまりは委任状が捏造されていた疑いがあるというわけだ。

 さらに同年7月には横浜地裁川崎支部で異例の裁判が起こされている。原告である神奈川県内の男性によれば、委任してもいないのに新宿事務所が勝手に過払い金を回収してしまっていたという。しかも新宿事務所が報酬として得ていた額は日本司法書士連合会が定めた指針を大きく上回るものだった(以上の詳細については本連載の2015年10月28日付記事を参照されたい)。
 
 その後も新宿事務所をめぐっては、認定司法書士が取り扱うことができる上限額(140万円)を超えて受任していた疑いなどが浮上した。そのため信販会社が非弁行為だとして東京法務局に懲戒請求を行ったとされる。関係者の間では、ほかにも複数の事案で新宿事務所に対し懲戒請求がなされていると取り沙汰されている。

 こうしたことから、一連の異変は重い懲戒処分が下されることを見越した動きではないかと一部で見られているのである。司法書士に対する懲戒処分は、軽いものから戒告、2年以内の業務停止、業務禁止の3段階。弁護士業界とほぼ同じで、最悪のケース、法人そのものの活動ができなくなる。

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