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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

注文住宅高騰…基本性能向上を「理由」に過去5年で2割上昇、安い中小メーカーで十分?

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

 17年に入ってから大手住宅メーカーでは、フラッグシップとしての高額商品の発表が相次いでいます。主なところをピックアップしてみましょう。

大和ハウス――『プレミアムグランウッド』として、脱プレハブ住宅の木造フルオーダー商品を発表。坪単価100万円からで、1棟単価5000万円以上を目指す。
積水ハウス――鉄骨高級住宅『イズ・シリーズ』に新構法「ダイナミックフレーム・システム」を投入、最高級ブランド『イズ・ステージ』で坪単価80万円以上の販売に注力。
・ミサワホーム――木質パネルのモノコック構造の『センチュリープリモア』を坪単価100万円前後で販促。
・パナホーム――制震鉄骨の『カサートプレミアム』の新商品を投入、坪単価98万円から。

 先にみたように、大手の1棟単価はおおむね3000万円台の後半ですが、こうした商品の投入により17年度には4000万円台に乗るのは間違いなさそうな情勢です。

高断熱・高気密、耐震性などが上昇要因

 大手各社は、こうした単価の上昇の要因として、住宅の基本性能の向上を挙げています。特に、16年4月の熊本地震では、2000年以降に新耐震基準で建てられた住宅の全壊事例も複数みられたことから、各社とも耐震性の強化に一段と力を入れています。

 その象徴的な例が、三井ホームの「震度7に60回耐えた家」というキャッチコピーの広告。実物大の住まいで60回の震度7の揺れを与えても、ほとんど損傷することなく、継続して住み続けられる状態であることが証明されています。それを繰り返し、全国紙の一面を使って宣伝しています。

 他の各社も独自の制震装置の開発などによって、大幅に地震の揺れを抑制し、より安全・安心であることを売り物にしています。その安心料として、多少高くなるのは仕方がないということなのでしょうか。

 もうひとつの要素が、地球環境問題に対応した住まいの高断熱・高気密化です。全館空調で、冬場でも常にすべての部屋を一定以上に保ち、省エネとともに、ヒートショックやぜん息、花粉症などのアレルギーを抑制する住まいになります。

 たとえば、平らな屋根が多く、大容量の太陽光発電設備を設置しやすいセキスイハイム(積水化学工業)で家を建てた人に対する調査によると、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を建てた場合、年間の光熱費の収支が17.6万円のプラスになったそうです。古い住宅に住んでいるときには、年間20万円以上の光熱費を負担していたとすれば、それがなくなって反対に17.6万円のプラスですから、実質的に年間40万円近く収入が増えたといってもいいかもしれません。

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