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日産、経営支配狙う仏政府との対立先鋭化…ゴーンの超高額報酬が標的に

文=河村靖史/ジャーナリスト

 マクロン氏の強引なやり方に警戒感を強めたゴーン氏は、日産がルノーの株式を追加取得して出資比率を25%以上にすると、ルノーの保有する日産の株式の議決権がなくなるという日本の会社法を使うことで、フランス政府が求めるルノーと日産の経営統合を阻止することを検討。お互いが議決権を持たない自動車メーカーグループとなった場合、大きな混乱に陥ることを懸念したフランス政府は矛を収めることを決断した。15年12月にルノー、日産と交渉してフランス政府は日産の経営に関与しないことを約束、関与した場合は日産がルノー株式を買い増す権利を持つことを確認した。

対決第2弾

 ルノーと日産のフランス政府の対決第2弾は、そのすぐあとに訪れた。約725万ユーロとされたゴーン氏の報酬について、フランス政府は「高額過ぎる」と反対。16年4月の株主総会ではフランス政府をはじめ、他の株主も賛同して反対が54%と過半数を超えた。採決に拘束力がないものの、結局ゴーン氏の報酬は業績連動部分の20%減額を迫られた。

 ゴーン氏はその後、フランス政府に対して、保有するルノー株式を売却するよう求めており、フランス政府がルノーから手を引けばルノー・日産グループは大きく発展するとの主張を繰り返してきた。ただ、マクロン大統領をトップに頂くフランス政府の誕生に、ルノー・日産グループは緊張感を高めている。

 まず注目されるのが、今年のルノー株主総会における、ゴーン氏の報酬問題をめぐるフランス政府の対応だ。ゴーン氏は傘下に入れた三菱自動車工業会長に就任するとともに、役員報酬総額の上限枠を従来の3倍となる30億円に引き上げている。

「ルノーではフランス政府が介入して高額な報酬に批判が強いので、三菱自から得るつもりでは」(元日産役員)

 マクロン大統領が、ルノーの経営への関与を強めた場合、ルノー・日産に三菱自も加えてグループガバナンス問題が再燃する可能性もあり、今後の動向が注目される。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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