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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

消毒薬はNGで危険?傷は水洗い&食品用ラップフィルム巻きが治り早い?

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 非常識君の回答です。

「そうです。普通の水道水です。病院の手術室でも昔は手洗に滅菌水を使用していました。ところが普通の水道水でも滅菌水でもほとんど差がないことがわかり、水道水を利用している病院が多いと聞いたことがあります」

 常識君のコメントです。

「以前は傷を消毒することは当然の医療行為でした。傷は消毒して、ガーゼで覆って、そして乾かすという治療行為が一般的でした。ところが、傷は消毒せず、水で異物を洗い流して、そして湿潤環境を保ったほうが実はより綺麗に、より早く治るという治療方法を取る医者が増えてきました。ネットで『創傷治療』などの言葉を入力して検索すると、たくさんの意見があることがわかります」

かさぶたや膿の役割


 極論君の意見です。

「小学校や幼稚園では、僕と同じように消毒してガーゼや治療用のテープなどで覆うことが多いと思いますが、それがもしかすると時代遅れかもしれないということですか?」

 非常識君のコメントです。

「19世紀から20世紀は確かにそんな治療が一般的でした。しかし、よく考えると傷は自分の細胞が治すのです。自分の細胞に消毒液をかけることは、少なくとも自分の細胞にとっては不利益です。また細胞は乾いた環境では生き残れません。だからこそ『かさぶた』や『膿』をつくって、その下に湿潤環境を形成して、そこで傷は治っていくのです。

 ですから、最初から自分の細胞にとって、その細胞が傷を治すために、より良い環境をつくることが当たり前の創傷治療の作戦なのです。ですから水道水で洗って、食品用ラップフィルムなどで傷が乾かない環境をつくれば、綺麗に早く治るのです」

 常識君のコメントです。

「まだまだ議論のあるところかもしれません。しかし100%間違っていれば消毒しないしガーゼを使わない、という作戦は廃れているはずです。ところが多くの医師がその創傷治療の作戦に賛同しています。傷や怪我は、ときどきは遭遇するものです。そんなときに比べてみればいいですよね。どちらが正しいのか。またかかりつけの医師に相談してみるのもいいでしょう。医療は進歩しています。創傷治療の歴史を見ても、昔の治療は実は古くさいのかもしれませんね」

(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部附属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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