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韓国「反日」新政権、日本と強固な友好関係構築へ…北朝鮮による核攻撃はあり得ない

文=深笛義也/ライター
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米朝開戦なら300万以上の韓国人が死の危険に…

 そして、保坂氏はTHAAD配備の意味と韓国国内の切迫した雰囲気について、以下のように語る。

「アメリカは、朝鮮半島付近にロナルド・レーガンとカール・ビンソンという2隻の原子力空母を派遣していました。護衛艦などをすべて合わせると、米軍はトマホークを1700発撃ち込める態勢を整えていたようです。

 しかし、米軍の先制攻撃によって、仮に北朝鮮で核爆発が起きれば朝鮮半島全体が核で汚染されてしまい、中国や日本にも多大な影響を与えることになるため、それはアメリカとしてもできない。だからこそ、平和的に交渉しなければならないのです。

 そうした事情から、文大統領は選挙中から『まず北朝鮮に行って対話する』と言っているわけです。戦争を起こさずに、いかに平和的に北朝鮮に核兵器を放棄させるか。文大統領はそれを目的としているわけで、親北朝鮮というわけではありません。『アメリカと十分に相談した上での訪朝』とも言っていましたが、韓国の保守派は自分たちに都合のいいところだけを抜き出して非難していたわけです。

 THAADのレーダーは、北朝鮮だけではなく中国国内を監視するためにも使われます。今は韓国から800kmくらいしか見られませんが、2~3年後には進歩して3000kmまで見られるようになるでしょう。しかも、アメリカ本土から韓国に配備したTHAADのレーダーを制御できるようになるといわれています。これは結局、中国とアメリカの軍事的競争に韓国が巻き込まれるということです。

 THAADが一部配備されて中国の非常に強力な経済報復が始まりましたが、文政権になってから、報復は少し和らいできています。韓国としては、中国と戦うなんて、考えるだけでも大変なことです。仮にそうなれば、戦場になるのは朝鮮半島ですから。

 韓国と日本では、同じ『保守』『革新』という言葉でも、意味はまるで違います。国民の命がかかっているからです。たとえば、ソウルは休戦ラインから約40kmで平壌は約140km。いわば、ソウルは人質に取られてしまっているわけです。仮にアメリカが先制攻撃を仕掛ければ、そのときは北朝鮮は韓国に撃ち込んできます。そうなれば、韓国では300万人以上の死者が出る可能性があります。そのあたりの切迫した感覚は、日本とはまるで違います。逆にいえば、慣れてしまっている部分もありますが、多くの韓国人は切実な問題であることを理解しています。

 また、言い換えると、一歩間違えれば韓国が先頭に立って戦争の尖兵になるという危惧があるわけです。もちろん、日韓米が一体化して動くことが考えられますが、有事は朝鮮半島で起こります。日本にもミサイルが飛んでいく可能性はありますが、本格的に戦場になるのは朝鮮半島です。

 それに、THAADは中長距離ミサイルに対する防御であり、北朝鮮が韓国にミサイルを撃ってきても、距離が近すぎて THAAD は実際にはまったく役に立たないのです。THAADは高度40km以上150km以下で入ってくるミサイルを迎撃するものですが、北朝鮮と韓国は近いので、高度40km以下でも撃ち込まれる可能性が十分にあるわけです」(同)

 後編では、THAADをめぐる韓米関係や高い支持率を誇る文大統領の素顔について、さらに保坂氏の話をお伝えする。
(文=深笛義也/ライター)

『“独島・竹島”の日韓史』 日韓友好の長年の課題の一つとして避けて通ることのできない領土問題。日韓比較政治・比較文化研究家である著者が、19世紀中頃までの日韓の歴史を照らし合わせ韓国側の主張を提示する。 amazon_associate_logo.jpg

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