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自らテストドライバーを務めるトヨタ社長は、類まれな経営者である…著名人を乗せ自ら運転

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
自らテストドライバーを務めるトヨタ社長は、類まれな経営者である…著名人を乗せ自ら運転の画像1テストドライバーも務める豊田章男社長(左、撮影=つのだよしお/アフロ)

 4月28日付日本経済新聞に、トヨタ自動車の高級ブランド・レクサスが中国でイベントを開催し、そこにインターネットの世界において高い情報発信力を有する著名人を招いたとの記事が掲載されていた。著名人たちに中国・上海の天馬サーキットでトヨタ社長の豊田章男氏が運転するレクサスLCの助手席に乗ってもらい、レクサスの素晴らしさを体感してもらうというものであった。

 トヨタの社長にレクサスを運転してもらうとは、なんとも贅沢でさぞや気分が良かったのではないかと推測される。マーケティングにおいて、こうした社長の活用の仕方もあるのかと興味深くもあった。

 創業者の豊田喜一郎氏を祖父に持つ豊田章男氏は、慶応義塾大学法学部を卒業後に渡米し、ハーバード大学やスタンフォード大学といった超有名校ではなく、バブソン大学大学院でMBA(経営学修士)を取得している。日本ではあまり耳にすることがないかもしれないが、バブソン大学はアントレプレナーシップ(起業家論)の分野では世界トップレベルであり、こうした学校選びにおいても豊田氏のユニークさが表れているかもしれない。ちなみに、イオン社長の岡田元也氏も同大学院を修了している。

 また、豊田氏は国際C級ライセンスを取得するほどのクルマ好き、レース好きで知られており、実際にニュルブルクリンク24時間レースなどにも出場している。大企業の社長がこうした活動をすることに対して、事故のリスクなどを理由に批判の声もあるようだが、みなさんはどのように考えられるだろうか。

 筆者は以前、多角化に大きな関心を寄せていたことがある。既存資源を有効活用しながら新規事業に取り組む多角化はリスクを低減させ、成功確率を高めると一般にいわれており、企業を取り巻く環境が激しく変化する時代において、長期にわたって組織を存続させるために重要な取り組みであると考えたからである。

 しかしながら、極めて個人的な経験ではあるものの、多角化により展開されているある店を客として訪れた際、多角化に対して大きな疑問を持つようになった。店およびスタッフが自分たちの商品およびサービスに対してなんのこだわりも持っていないことを痛切に感じたからである。

 もちろん、その店だけがたまたまそうであった可能性も否定できないが、既存資源の有効活用をベースに、儲かりそうな事業を探すという多角化は、構造的に商品やサービスに対してのこだわりや愛、覚悟といったものを後回しにしてしまうのではないだろうか。

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