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ブラック企業で働くことは本当に「不幸なこと」なのか? 科学者が考える幸福論

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※画像:『人間はロボットよりも幸せか?』(保江邦夫、前野隆司著、マキノ出版刊)

 幸福とは何か。考えたことがある人は少なくないはずだ。

「幸福論」を語る場合、たいていは哲学や心理学の分野だろう。だが、『人間はロボットよりも幸せか?』(保江邦夫、前野隆司著、マキノ出版刊)では、違った視点から幸福論を考えている。著者の保江氏は理論物理学者、そして、前野氏は機械工学者だ。この2人が対談形式で「幸せ」について考えていくのだ。

■正反対の理論を持つ2人が幸福について語る

 保江氏は、宇宙を含めたこの世界のすべて、さらには「あの世」まで俎上に載せる「素領域理論」をもとに、前野氏は、地球上で目の前に起こる小さな事象から理論を組み立てていく「ニュートン力学」を土台にすえている。

 それぞれの研究アプローチを平たく言うと、保江氏は宇宙をも抱合する果てしない世界から見て、地上で起こる個々の事象を解析する手法、前野氏は地上で起こる個々の事象の分析を積み上げ、全体に広げていく手法といえる。

 「人間には自由意思がある」という保江氏と「人間には自由意思はない」とする前野氏。正反対の理論で論じる2人の幸福論は、一致することもあれば、平行線を辿ることもある。そういった議論も本書の面白いところだ。

■ブラック企業で働いていても、実は「幸せ度は低くない」?

 本書ではさまざまなトピックがあるが、その一つである「ブラック企業にいても幸せ?」というテーマを取り上げよう。2人はどのように考えたのか?

 前野氏は、もちろん残業がいいとは言わないという前提のもとにこう語る。

――やらされていると思うから不幸せなんであって。ブラック企業といわれる企業の社員って、けっこうおもしろいから仕事している人も少なくないですよね。幸せ度を測ってみると、実はそんなに低くない。

(中略)

 人生って、みんな、数え切れないほどの選択の結果、いまがあるんですよね。「いや、やむを得なかった」という人もいるかもしれないけど、そのなかにも必ず自由度や選ぶ局面はあったはずで、細かい選択を積み重ねていまにいたっています。けっきょく、意味合いはさまざまでしょうけど、誰でも好きなほうを選んできているんですよ。(書籍P106-107P引用)

 例えば、子どもの頃や学生時代によくやった遊び、そして今やっていることを書き出してみて、抽象度を上げて考える。

 そうすると、実は小学校の頃に好きだったことや夢見ていたことが叶っているのに、仕事がきついために「やらされている」と思い込んで不幸になっているケースが、ワークショップを行ってみると意外に見つかるという。

 もちろん、環境的に肉体も精神も追い込まれるようなレベルの職場からは逃げるべきだ。しかし、そういう環境でなければ、自分のこれまでと今の仕事を見直してみても悪くないはずだ。

 仕事に追われていたり、暇な時間を過ごしていたり。そんなとき、ふと「幸せってなんだろう」と思いにふけることがあるだろう。

 世界的理論物理学者とロボット工学の第一人者が語り合う「理系の幸福論」は参考になるかもしれない。普段とは違った角度から「幸福」というものが語られているはずだ。

(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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