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グローバル化の終焉を告げた2つの「事件」と「閉じた経済圏」の可能性とは

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※画像:『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(集英社刊)

 以前から「資本主義」の限界が叫ばれてきたが、肝心の「資本主義の次にあらわれる世界」の議論については不透明な部分があった。

 それが、2016年に起きた2つの決定的な事件――イギリスのEU離脱と、ドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利――によって、世界がどこに向かおうとしているのかが見えてきた感がある。

 この2つの出来事の象徴的な意味合いは、グローバリズムと新自由主義を引っ張り続けてきた米英が、世界に対して「閉じる」という選択をしたことだ。

 経済学者の水野和夫氏が執筆した『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(集英社刊)では、「生き残るのは閉じた帝国である」という重大な指摘を起点に、世界経済を俯瞰しながら日本の進むべき方向が示されている。

■“例外状態”ゼロ金利が示す「資本主義の終焉」

 あれだけ謳われた「グローバル化」への声が急速に勢いを失い、人々は国民国家に戻る、“揺り戻し”への道を選択しているように見える。

 水野氏によれば、グローバリゼーションとは「ヒト、モノ、カネの国境を越える自由な移動であると言われていますが、本質的には『中心』に富(資本)を『収集』すること」だ。

 西欧には歴史を、“「蒐集(コレクション)」の歴史”と捉える考え方がある。そして、その「蒐集」したものを富の再分配の元手とすることで、社会秩序を維持してきた。

 帝国主義の時代は「土地」の蒐集を進め、その後蒐集の対象を「資本」へと変えていった。軍事力で土地の蒐集を進めるよりも、市場を通じて資本を蒐集した方が、コストが圧倒的にかからないからだ。

 資本主義は、この「資本の蒐集が困難になった」時点で終焉する。そして今まさに、「蒐集困難」を示す「例外状態」がある――ゼロ金利だ。

 政策金利5%以上と2%以下はこの「例外状態」に当てはまる。

 5%以上の金利の場合にはその裏に戦争があり、2%以下の場合は「投資先がない」という状態を示す。日本では1997年以降20年間、この例外状態が続き、アメリカでも2008年12月より事実上のゼロ金利政策が取られた。

 国家にはもはや蒐集するものがなく、巨大なグローバル企業が国家を凌駕しようとしている。この国民主権国家の危機的状況が、今の揺り戻しを呼んでいるということは言えるだろう。

■国民国家に戻っても解決にならない 非公式の「帝国」という選択

 では、国家は今後、どのように舵を取れば生き残っていけるのだろうか。

 本書の冒頭で著者は、今起きている「国民国家へのゆり戻し」では解決に結びつかないと指摘する。

――今、進んでいる国民国家へのゆり戻しという動きの延長線上に「歴史の危機」を乗り越える解決策はないのではないか、というのが本書を通じて、私が問いかけたいことです。 なぜならば、国民国家の基盤である、五〇〇年続いた近代システムそのものが、八〇〇年の資本主義の歴史とともに終わりを迎えつつあるからです。(P6より引用)

 では、世界はどこへと向えばいいのだろうか? ここで水野氏は「帝国」というワードを持ち出す。

 「帝国」は、国境を越えた複数の地域や国家を併合し、支配する統治形態のことを指す。しかし、水野氏は「非公式の帝国」という概念を持ち出し、現在のアメリカとEUに当てはめる。

 では、「非公式の帝国」とは何か?

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