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古びたお城形店舗…名門メガネ店・パリミキの凋落、格安店に押され売上激減&閉店ラッシュ

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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古びたお城形店舗…名門メガネ店・パリミキの凋落、格安店に押され売上激減&閉店ラッシュの画像1「Thinkstock」より

パリミキ」や「メガネの三城」を展開する三城ホールディングス(HD)の業績が悪化している。2017年3月期の連結決算は、売上高が前年同期比7.2%減の498億円、本業のもうけを示す営業利益は4億円の赤字(前年同期は2億円の黒字)、最終的なもうけを示す純利益は17億円の赤字(同6億円の赤字)だった。

 国内の店舗数は、かつては1000店を超えたこともあったが、業績の悪化により3月末時点で806店にまで減っている。18年3月末までにさらに30店減の776店になる見込みだ。

 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、1万円以下の4つの価格帯で販売する「JINS」などの格安メガネ店が台頭した。それに反比例するように、三城HDの業績は悪化し始めた。02年3月期の売上高は839億円と成長していたが、翌期には11.8%減の740億円に低下し、17年3月期には498億円にまで落ち込んだ。格安メガネ店に追いやられた格好となった。

 三城HDは1930年10月に「正確堂時計店」を創業したことが始まりだ。50年1月に株式会社三城時計店を設立し、創業社長が時計やメガネなどの販売・修繕を行う小売店を開業した。60年3月に社名を「メガネの三城」に改め、メガネ専門店へ移行した。73年3月に海外初出店となるパリ店をオープンした。

 パリに出店したのは、ヨーロッパで流行の色やデザイン、世界観を取り入れるためだ。日本のメガネメーカーが持つ世界最高レベルの技術や機能、品質に付加することで差別化を図った。それが功を奏し、消費者に支持された。そしてパリを皮切りに、アメリカや中国、韓国など世界各地に店舗網を広げていった。

 三城HDの強みは、メガネの技術と品質にあった。78年7月に、顧客一人ひとりに合ったメガネづくりの研究開発を行う「三城光学研究所」を岡山県岡山市に開設した。反射防止膜の干渉技術を応用し、無色でもクリアに見せる世界初の新設計レンズ「エリクサー」を開発するなど、高い技術と品質を誇る。

 94年9月からは人工知能(AI)によるメガネ提案システム「ミキシム・デザインシステム」を国内店舗へ導入し始めた。蓄積された顧客データや人間工学を利用し、個々の客の属性情報を加味して、AIが「世界に一つしかないあなただけのメガネ」を提案している。三城HDは早くからAIを導入した先進企業なのだ。

 顧客基盤も大きな強みだろう。顧客とのコミュニケーションを重視し、積極的に顧客との関係性を強化してきた。アンケートハガキの配布を徹底し、フリーダイヤルの「お客様センター」を設置するなど、顧客志向の経営を続けてきた。リピート客も多い。

 そうしたなかで顧客情報が蓄積され、数千万件にも及ぶ顧客カルテを保有しているという。顧客一人ひとりに合ったメガネを提供するには、この顧客カルテが欠かせない。膨大な量の顧客カルテは、長い歴史を持つ同社ならではの経営資源といえるだろう。専門的な知識を備えた経験豊富な店員が多いのも強みといえる。

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