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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

休日がない…小中学校教員、異常な長時間残業&理不尽な保護者対応で精神疾患続出

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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「現場の監督責任者である副校長や教頭の勤務時間が長くなっているが、もっとも勤務時間が長いのは、30歳代の若手の教諭だろう。この層が部活動でも中心的な役割を担っている」

 1日8時間労働なら週5日で40時間となるところだが、60時間を超える勤務時間では20時間以上の時間外労働になる。加えて、持ち帰り仕事もあるとなれば、月80時以上の時間外労働もうなずけるところだ。

「加えて、問題児の教育指導や学校などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をするモンスターペアレント問題など、教員には精神的なストレスがかかる問題も多い」(同)

精神疾患になる教員たち

 こうした実態を反映して、教員には精神疾患が多い。若干古いデータだが、文科省の14年度の調査によれば、うつ病などの精神疾患で休職した全国の公立学校の教員は5045人(全教員の0.55%)に上る。在職者に占める精神疾患の割合を学校別でみると、中学が0.65%(1548人)で最も高く、小学校0.56%(2283人)、高校0.36%(675人)と続く。

「本当にうつ病になる先生は多い。それだけ責任感も強く、精神的な負担が多いのだと思う」(同)

 では、月平均80時間以上の時間外労働に対して、きちんと賃金は支払われているのか。

「公立学校の教員には時間外手当は支払われない。その代わりに一律に給料の4%の金額が教職調整額として支給されている」(同)

 つまり、時間外労働が多くても少なくても給料の4%が支払われるという不透明さもさることながら、結局は“サービス残業”が罷り通っているのだ。子供たちに「公平さ」「正しさ」を教える教員に、公平で正当な勤務制度を取り入れることが必要だろう。

「ときどき、なぜ教師という職業を選んでしまったのかと思うことがある」という前出・教員の言葉に、なんともやりきれない思いが滲んでいた。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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