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採用・就職活動の現場ですべきアピールとは? 採用代行企業のプロに聞いてみた

取材・構成=編集部
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面接官は学生の話を聞きたいわけではない

――一般的な就職活動に話を戻すと、どういった手順を踏むものでしょうか。

A エントリーシートなどの書類選考があって、企業によってはSPIなどの試験があって、面接があって。提出書類やSPIは、訓練次第である程度のレベルまでたどり着くことができます。だからネックというか、重要なのは面接ですよね。

――やはりそうなるんですね。つかぬことを聞きますが、自己PRなどでは、やはりバイトリーダーとサークルの部長を名乗る学生さんは多いですか?

A 多いです、本当に多い。面接のマニュアルを勉強してきている、準備をちゃんとしているということでマイナスにはなりませんが、特にポイントにもなりません。もちろん、インカレや大きな展示会といった場で実績を残すような部に所属していたなどの経歴があれば別ですが。

 ですから最近は「OP(オープン)クエスチョン」、決まった回答しか帰ってこないであろう質問はしないという企業が増えました。志望動機は何ですか? 学生の間に一番打ち込んだことはなんですか? といった、就活本に模範例があるような回答を集めても、企業としては選別しきれませんから。個人個人の志向性や論理性を推し量れるような質問を、面接官が投げかけるようになってきていますね。

――難関校の受験は、暗記すれば解ける問題ではなく、応用が必要な本当の学力を測る問題が多いというお話と似ていますね。

A 本質は同じだと思います。さらにその延長線にあたるのが、インターンシップで1週間ぐらいかけてグループワークをやるという場だったりするわけです。そこまでやるとどうしたって化けの皮がはがれていきますから。そういう場でしっかり見極めたいという企業が最近は増えています。

――それは採用する側も手間暇かかりますね。1人採用するのに、高額なところでどれぐらいの経費をかけるものなんですか?

A 自分がかかわった範囲でいえば、最高で200~300万円ぐらいでしょうか。それでも中途採用で人材を採ることを考えれば安上がりなんです。それなりの人材を中途で採ろうと思えば、エージェントを挟むことが増えますが、すると成功報酬として年収の何十%かを支払わねばなりません。時間がかかりはしますが、新卒を選びに選んで、鍛えたほうがいい、という考えかたをする企業が多いです。

――やはり学生は、面接をがんばるしかないと。ちなみに最近の面接では、どんな傾向や流行があると感じられますか?

A 面接の場でおもしろい経験をしてきました、というアピールも多いですね、それこそ世界一周してきましたとか。でも1年で何百という学生に会う我々からすれば、そういったエピソードもそれほど珍しくないですし、アピールにもなりません。

 一方で、私が会った学生さんの中で、サークルもバイトもせず、ただひたすら勉強していたという哲学科卒の方がいまして。学んできた哲学も直接は仕事に役に立たないと思うが、深く思考すること、物事の捉え方、アプローチの仕方、そして何かしらを人に伝える能力は身につけられたと思います、といった自己アピールをされたことがありました。自分が学んできたことと企業との架け橋をちゃんと考えてきていて、しかも論理性が高い。インパクトがありましたね。

 よくある「学生時代にどんなことをやってきましたか?」という質問は、本当に何をやっていたかを聞くだけではなく、「やってきたことが、どう会社で役にたつのか?」を聞きたいわけです。哲学科の彼はそこをちゃんと考えてきた、客観視できていたから印象に残ったし、評価も高くつけさせてもらいました。

――ごく普通の経験しかしてこなかった学生でも、うまく企業のメリットにつなげられるアピールさえできれば問題ないわけですね。

A そうです。ですからグループ面接で同席した人と、エピソードが多少重なっても全然いいんですよ。どうしても学生の方は同じ話をしてもつまらないと思われるんじゃないかと心配しがちですし、実際こっちも「同じことを言っているな」とは思っています、正直。

 でも、我々が注目するのは、話している内容そのものではなく、どうやって話すのかという態度であったり、どう話を組み立てるのかという論理性です。何百人もと会いますからトータル的なことをいえば、どんなに珍しいと思えるエピソードでも大抵は重なっているものです。そこで萎縮してほしくないですね。

――自分の学生生活が地味だからと、話を盛ったりは絶対しないほうがいいですね(笑)。

A それはいつか必ずばれるし、無理が出るでしょうね(笑)。アドバイスさせてもらえるなら、どんなに地頭が良くて、面接に手応えがあっても、相性と運次第では落ちてしまうこともあり得ますので、落ちることを当たり前というぐらいの感覚でいてほしいですし、そうでないと辛くなる一方だと思います。

どんなに優秀でも落ちるときは落ちる。面接は時に運

――面接の上手い下手が数値化できたとして、全国で1位をとれる学生でも落ちるときは落ちる?

A 落ちます落ちます。人と人とが会って話すわけですから、多少失敗しても「こいつはバカだけどうち向けの性格をしている」なんて好印象を持ったり、しっかりと受け答えができても「そつがなさ過ぎてつまらない」と感じてしまったりと、面接官との相性の良し悪しはどうしても発生します。

 同じ企業でも人によって重要視するポイントも微妙に違ってしまいますし、ちょっと自分と似たところがある人物に親近感、好印象を持ってしまうことはどうしたって防げません。本当は同じ企業内でブレがあるのはマズイし、一生懸命クロスチェックもしますけど。

――面接官だって人間ですからね。

A そうですね。半分は運ぐらいに考えていたほうが、気が楽になると思います。たとえば同じような自己アピールがたまたま5人連続で続いてしまった。個々に見れば本当は5人目のアピールが一番よかったのに、疲れや慣れのせいで、その違いを見過ごしてしまったといったケースはやはり起きてしまいます。それは我々としては申し訳ないんですけど。

 ですから、青田買いだと批判を受けがちですけど、インターンは総合的なジャッジを下しやすいという意味で有益ではあるんです。問題があるとしたら、6月1日以前に決まってしまうというところですが、それだって経団連に入っていなければ関係ありませんからね。

――しかし、採用現場も大変ですね。

A いや、大変なのは現場だけではないんです、社内の調整もすごく大変ですよ。同じ企業でも、営業部に欲しい人材と事務方に欲しい人材とでは、タイプが違ってきますよね? いろんなことをできる人材を何割ぐらいとるのか、専門職を任せられる人は何割ぐらい割り当てられるのか。その調整が企業によってはなかなかできなかったりするんですよ……。

――現場も学生も、上層部も大変だと。では最後に、就活中の方へアドバイスなどいただけますか?

A ここ数年で何度か、就職活動の解禁日が変わっていますよね。我々も大変ですが、ゼミやサークルの先輩はこの時期から動いていたなという経験が、あまり生きないので注意してほしいなと。個人的にはインターンも含めて、大学1~2年の頃から動きださなくてはいけないというのはせわしなくてかわいそうだなと思ったりもしますが、企業も有能な人材を確保するのに必死ですし。

 また、学生は有名企業に集中しがちなんですけど、そういった企業を志望する動機をざっくばらんに聞くと「有名だから」とか「大企業だから安定していると思って」みたいなケースが多い。でもしっかり探せばもっと安定しているBtoBの企業があったりしますし、最近は新卒向けのエージェントのサービスもあります。いろいろなサービスやシステムをしっかり活用することも大事だと思います。
(取材・構成=編集部)

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