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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

「円周率ノート」なぜバカ売れ?キングジム、社員の「ノリ良い」ツイートとユーザのコラボ

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「円周率ノート」(ロフトのHPより)

 テプラやファイルで有名な文具メーカー・キングジムと、ロフトがコラボレーションした新商品が今話題となっています。その商品は「円周率ノート」。もともとTwitterで3月13日にキングジム公式アカウントで商品化に至らなかった“没ネタ企画”として紹介されたものが、ロフトによって商品化されたものです。キングジムがTwitterで他社とコラボし商品をつくるのは、今回が3回目になります。なぜキングジムがTwitterに力を入れ、そして成功しているのか、“ヒットの正体”をみていきましょう。

罫線に学生時代に覚えた円周率が!


 円周率ノートは、表紙が黒板を模した緑と白、なかを開くとノートの罫線がすべて円周率になっています。6月23日の銀座ロフトのオープンに合わせて、同店およびロフトネットストアで限定発売されました。そして、発売日のうちにどちらも即完売したようです。

 キングジムはこれまで、東急ハンズやプロバスケットボールのBリーグともコラボ商品を販売していますが、それらは2つともツイートがきっかけで生み出されたものです。

 今回の円周率ノートは、没ネタを公式アカウントにて社員がツイートしたことにより、フォロワーから商品化を希望する声が多数寄せられたことから商品化に至りました。

 キングジムは日頃から“ネットファースト世代”が好んで使うTwitterの活用に熱心で、約23万のフォロワーがいます。この数は、競合であるコクヨ(5万)、ぺんてる(1.5万)、ゼブラ(2.8万)と比べてはるかに多いです。キングジムのTwitterは数多ある企業の公式アカウントのなかでも、ノリの良さや社員の雑談内容のセンスの良さ、一般ユーザーとの見事な絡みなどが抜きん出ており、それがフォロワー数の多さにつながっていると考えられます。“スマホファースト”の今、この戦略は非常に有力で、多くのコアファンを獲得し、そしてキングジムの認知度も上がっています。

 今回、紹介したキングジムのほかに、シャープ、東急ハンズ、タニタなどのTwitter公式アカウントも「おもしろい」と話題です。これら企業サイトでは、どのアカウントも企業の商品紹介などだけでなく、ユーモアさに溢れるツイートをしています。そこで一般ユーザーとの交流がきっかけで話題となった商品を開発・販売することで、発売前に“コアユーザー”を確保することができます。

 消費者が「自分の声が商品にかかわった」と感じれば、必ず買いたくなるはず。さらに、その企業を応援したくもなるはずです。今回の円周率ノートも、その商品自体が売れたことよりも、没ネタがTwitterでのフォロワーの声によって復活し、企業名や商品そのものが話題になったといえるでしょう。SNSでの認知度向上策は、「面倒で運用上のやり手がいない」では済まされず、これからの企業の必須項目になってくるかもしれません。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)

●山本康博(やまもと・やすひろ):
ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、マーケティング実績30年以上。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out:a ninja in Japanese brand marketing』(BVC)など。

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