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次元が違う美味さの豆腐店が消える…都内300店を割り、業界に危機

構成=長井雄一朗/ライター
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――やはり、中小・零細企業が多いという性質上の問題も大きいですね。

橋本 原材料である大豆や油の価格は上がっており、どこも経営は厳しいです。また、もうひとつの問題は食品表示制度が改正されたこと。加工食品に関しては「栄養成分表示」の義務化に加え、新たに「遺伝子組み換え表示」「原料原産地表示」が検討課題にあがっており、町の豆腐店にとっては大きな負担になります。

「栄養成分表示」については、2020年3月末までの猶予期間がありますが、中小・零細企業が多い豆腐業界には、「現実的に対応が可能かどうか」という不安が広がっています。町の豆腐店からは「面倒でお金がかかるので、いっそのこと廃業しよう」という声も出てくるかもしれません。

そもそも明確な定義が存在しない「豆腐」の正体

――安値競争については、改善策はありますか。

橋本 農林水産省は、豆腐・油揚製造業を対象とした食品製造業と小売業との適正取引の推進を目指した「食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン ~豆腐・油揚製造業~」を食品業界で初めて策定しました。

 店頭での特売の対象となりやすい豆腐について、豆腐業界からの強い要望を受けて取引の実態を調査したところ、関係法令に抵触する恐れのある11の取引事例が報告されました。それを踏まえて、健全な取引慣行や豆腐店とスーパーとの商売上の取引が独占禁止法の「優越的地位の濫用」などに該当しないように策定されたものです。

 農水省はガイドラインのパンフレットと動画も制作して、普及に努めています。全豆連としても、5月29日に農水省の食料産業局企画課長等を講師に招いて説明会を開催するなど、ガイドラインの普及を行っています。

 一方では、全豆連と日本豆腐協会などの豆腐事業者から構成される「豆腐公正競争規約」設定委員会が、豆腐の定義をしっかりと定めることで、消費者にわかりやすい表示となるよう努めています。定義案では、「大豆固形分」を基準に、10%以上を「とうふ」、8%以上を「調製とうふ」、6%以上を「加工とうふ」として分類。加工状態や硬さに応じて「木綿」「ソフト木綿」「絹ごし」「充てん絹ごし」「寄せ(おぼろ)」と5つの分類も設けます。

 実はこれまで、豆腐そのものの定義はありませんでした。豆腐業界が定義案を示して消費者庁や公正取引委員会の認定を得ることができれば、豆腐の定義は国からお墨付きを得ることにもなります。

――スーパーで販売される激安豆腐は別として、町の豆腐店が販売する価格には「このくらいが適正」というのはありますか。

橋本 ほかの製品も同様ですが、独禁法に抵触するため豆腐には定価はありません。標準小売価格といったものを作成したいと考えましたが、現行法上では不可能です。ただ、町の豆腐店の希望としては、「労力や原価などを考慮すると、1丁100円くらいでないと、とてもやっていけない」という話はよく耳にします。

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