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日本獣医学会、安倍首相を真っ向批判…「現状理解せず発言」「獣医学教育の根幹を崩壊」

文・構成=長井雄一朗/ライター
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日本獣医学会、安倍首相を真っ向批判…「現状理解せず発言」「獣医学教育の根幹を崩壊」の画像1安倍晋三首相(写真:日刊現代/アフロ)

 学校法人「加計学園」による国家戦略特区での獣医学部新設計画をめぐって、政府と日本獣医学会がバトルを繰り広げている。

 安倍晋三首相が「国家戦略特区によって、1校に限らずすみやかに獣医学部新設の全国展開を目指したい」という方針を示したことに対して、獣医学関係者は強く反発した。

 稲葉睦・全国大学獣医学関係代表者協議会会長と中山裕之・日本獣医学会理事長は、連名で「獣医学部新設問題に関する安倍晋三内閣総理大臣の発言について」という声明を発表している。そこには、以下のような文言が並ぶ。

「獣医師養成教育の現状と本質的問題を理解せぬまま発せられたものであり、日本の獣医学教育の根幹を、ひいては広く大学教育・研究を崩壊に導きかねない、正に驚愕すべき発言です」

「『(新設認可を)1校だけに絞ったことで生じた批判だ』などというレベルの問題ではありません」

「国民生活を支える獣医師の養成教育の深刻な質低下が生じる可能性が危惧されます」

 また、両氏は6月30日に記者会見を開き、「獣医学教育の根幹を崩壊に導きかねない」「驚愕すべき発言に対して、強い危機感を抱いている」などと、あらためて安倍首相の発言を批判している。

 これ以前にも、山本幸三地方創生大臣が「長年にわたって(新設を)認めなかったことで、日本の獣医学部の質は落ちている」と発言しているが、両氏は同様に「公的な場における根拠無き批判は、多くの先達を含め、現在、獣医学教育改善に真摯に取り組む全国獣医系16大学の教職員と、そこに身を置き研鑽を続ける獣医学生の努力を否定するものです」と反論している。

 前川喜平・前文部科学省事務次官が「(加計学園の獣医学部新設をめぐって)行政がゆがめられている」と安倍政権に反旗を翻す一方で、国家戦略特別区域諮問会議に民間議員として名を連ねる竹中平蔵・東洋大学教授は「(獣医師の業界団体である)日本獣医師会の抵抗が強く、アリの一穴を開けるには1校に限るしかなかった」と政府を擁護している。

 ペットを飼っている人であれば獣医師と接する機会は多いが、それ以外の人たちにとっては、あまり馴染みがないのも事実だ。今、獣医学業界に何が起きているのか。今回の政策の問題点はなんなのか。日本獣医学会理事長の中山裕之氏に聞いた。

日本獣医学会が危惧する質の低下と政権の無理解

――安倍首相と山本大臣の発言について、思うところを教えてください。

中山裕之氏(以下、中山) 6月30日に公開した声明のとおりです。すなわち、行政の最高責任者である内閣総理大臣と戦略特区担当大臣が、わが国の獣医学教育(獣医師養成教育)の現状を理解することなく、このような発言をすることは適切ではありません。

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