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安倍首相退陣建白書、提出騒動も…茨城知事選、自民支援のドワンゴ役員vs在任24年の現職

文=田村建雄/ジャーナリスト
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大井川陣営の巻き返し

 こうした巧みな現職の攻勢に、大井川陣営も黙っていない。同じ13日に自民党色を薄めつつ、かつて大井川氏が勤めていたマイクロソフト社の創業者のビル・ゲイツ氏と小泉純一郎元首相が一緒に映り込む大井川氏の写真を掲載したチラシを、新聞折り込みのかたちで配布した。その写真の説明文には「来日したビル・ゲイツ氏を案内し官邸に小泉純一郎首相(当時)を表敬訪問した大井川和彦さん」と書かれている。さらに、そのチラシでは、「チェンジ茨城」「チャレンジ茨城」と銘打ち「茨城を日本一の県」にというキャッチフレーズを掲げ、スポーツ選手らとの対談も掲載している。

「これは民間シンクタンクが毎年調査している都道府県魅力度で、茨城県がここ数年全国最下位に甘んじていることを暗に批判したキャッチにもなっていますね」(夕刊紙記者)
 
 橋本知事への多選批判は今回始まったことではない。実は8年前の橋本知事5期目に当たる09年時、自民党茨城県連が多選弊害を理由に引きずりおろそうとしたことがあった。

 その時も白羽の矢がたったのは、地元の土浦一高から東大を経て国交省入省、事務次官まで上り詰めたピカピカの経歴を持つ小幡政人氏だった。

 その経歴からしても絶対勝てると信じた自民党。ましてや茨城県は全国でも一、二を争う自民王国だ。ところが蓋を開けると、結果は予想に反しダブルスコアで小幡氏が大敗、橋本知事が圧勝したのだ。

「橋本氏が多選批判にもかかわらず圧勝した理由は、やはりあのニコニコした愛嬌ある丸顔と、ボーッとしているようでなかなかの選挙巧者ぶりでしょう。自民党茨城県連のなかで公然と造反者が出て、橋本支持に回ったためです」(自民党関係者)

 その選挙巧者も今回こそ、さすがに勝つのは無理と思われていた。だが、ここにきて安倍批判の追い風がにわかに吹き、情勢は再び混沌とし始めた。

大井川氏への期待

 しかし、若い有権者の間では、大井川氏へのこんな強い期待の声があるのも事実。

「ドワンゴといえば、ニコニコ動画のほかにゲームなどIT関連では日本でもトップランナー。さらに大手出版社のKADOKAWAと共同で沖縄にプログラミングが学べるネット制N高校を立ち上げ、教育でも新たなジャンルを切り開こうとしている。そんなドワンゴ取締役の大井川氏が知事になり、東京に近い茨城の地の利を生かしていろいろやってもらえば、茨城はさらに躍動する。自民党かどうかは関係なく、大井川さんを応援したい。橋本さんも、もう30年近く知事をやれば清流も濁ってしまう。茨城はあえて今変わらなければ、東京に近くても一気に停滞してしまうのではないか」

 大井川氏は「10年に1人」ともいわれるIT業界の逸材。茨城県民は、この逸材を生かすのか、それとも20数年の知事実績を掲げる「重い経験値」を選ぶのか。水戸一高、東大法学部、官僚とまったく同じような経歴を歩んできた橋本氏と大井川氏の先輩後輩対決、新旧対決の勝敗は、今後の永田町、安倍政権の前途を決する選挙ともいわれる。それだけに全国から「茨城夏の陣」として熱視線を浴びつつある。勝負の行く末はいかに。
(文=田村建雄/ジャーナリスト)

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