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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

日焼け止め、間違った使い方&選び方は危険!子供が使ってはいけない商品はコレ

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
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SPFとは

 SPFはSun Protection Factorの略で、紫外線防御係数(サンケア係数)と訳され、皮膚に悪影響を及ぼすUV-Bを防いでくれる時間を数値化したものです。UV-Bは、UV-Aより波長が短く、肌が赤く炎症を招いてヤケドのような状態になる「サンバーン」を引き起こします。

 日本では、SPFは2~50までの表示で、何も塗らない時と比べて何倍UV-Bを防ぐことができるかの目安となります。SPF50以上の場合は「50+」と表示されています。

 人によっても肌が赤くなるまでの時間は違うので、SPFの数値は「何時間、UV-Bを防ぐ」という意味ではありません。たとえば、日焼け止めを塗らず30分で肌が赤くなる人が「SPF20」の日焼け止めを塗った場合、30分の20倍、すなわち600分(10時間)赤くなるのを防いでくれるという意味です。

 つまり、SPF値が高いほどUV-Bを防いでくれる時間が長いといえますが、実際にはSPF30以上はそれほど大きな差はないとの指摘もあります。

PAとは

 一方、PAはProtection grade of UVAの略で、肌老化の原因となるUV-Aを防いでくれる度合いを「+」で表示したものです。UV-AはUV-Bより波長が長く、肌の奥の真皮に達し、真皮層のコラーゲンやエラスチンなどを破壊します。UV-Aは肌が小麦色になる「サンタンニング」を起こします。

「PA +」…防御効果がある
「PA + +」…防御効果がかなりある
「PA + + +」…防御効果が非常にある
「PA + + + +」…防御効果が極めて高い(2013年より追加)

 PAの強さは以上4つに分かれていて、「+」表示が多いほどUV-Aを防いでくれるといえます。PAはその効果を実感しにくく、長期的な悪影響を数値にすることが難しいので、数値ではなく「+」で表示されます。

 SPFの数値が高いほど、PAの「+」が多いほど効果的な日焼け止めと考えがちですが、日本皮膚科学会は、使用の目安として下記のように推奨しています。

・日常生活:SPF5、PA+(光老化予防)
・軽い屋外活動、ドライブ等:SPF10、PA++(サンバーン、光老化予防)
・炎天下のスポーツ、海水浴等:SPF20、PA+++(サンバーン、光老化予防、耐水性のあるもの)
・熱帯地方での屋外活動:SPF30以上、PA+++(サンバーン、光老化予防、耐水性のあるもの)

 また、SPFやPAで示されている値は、日焼け止めを1平方センチメートルあたり2ミリグラム(液体の場合2マイクロリットル)塗った場合の効果ですので、塗り方が少なければ表示されている効果は得られないことになります。ところが、消費者が使用している日焼け止めは、平均して1平方センチメートルあたり1.3ミリグラムほどというデータもあるので、実際に得られる効果は表示よりずっと少ないと考えられます。

 さらにプールや海の水、汗で流れたり、手で触るだけでもどんどん落ちていきますから、SPFやPAの値は、そのまま当てはまらないことのほうが多いでしょう。

 日焼け止めの正しい使い方としては、顔ならパール玉2個分位を全体にのばし、SPFの高いものでも、汗をかく状態で使うときには3時間に1回くらい塗り直すようにします。ムラができないようにまんべんなく塗ったら、もう一度重ね付けしましょう。顔や腕だけでなく、うなじ、耳たぶ、手の甲など忘れがちな部位にも塗ってください。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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