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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国・習近平、米国の圧力で窮地に…対立派幹部への粛清激化、共産主義回帰へ

文=渡邉哲也/経済評論家

 中国政府は以前から「構造調整を行う」としているが、仮にゾンビ企業を整理すれば大量の失業者が生まれることは明らかだ。国有企業の下には多くの企業が下請けや孫請けなどのかたちでぶら下がっており、コングロマリットを形成している。そのため、地域産業の壊滅を招くと同時に、不景気に対する鬱屈は政府への不満となって跳ね返ってくる可能性もある。

 習主席としては、党大会前にそういった事態になることは絶対に避けたい。しかし、ゾンビ企業に目をつぶっていては、健全な経済成長は望めない。いわば、ジレンマに陥ってしまっているわけだ。

北朝鮮問題で九死に一生を得た中国

 また、北朝鮮問題においても中国は微妙な立場に立たされている。仮に北朝鮮問題がきれいに片付けば、アメリカは次のターゲットに南シナ海を定め、中国が進める軍事拠点化を全力で阻止してくるだろう。当然、中国もそれをよく理解している。そのため、当面は北朝鮮を前面に立てるかたちでアメリカとの交渉を進めたいというのが本音だ。

 6月に行われたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)では、北朝鮮問題が優先されるかたちで議論され、南シナ海問題については保留同然の扱いだった。昨年までは南シナ海問題がメインであり、「中国に対して強い圧力をかけていく」というのが国際社会の共通認識であった。しかし、今回は北朝鮮問題に焦点が移り、中国としては一時的にだが救われたことになる。

 今後、党大会に向けて中国の舵取りはますます難しくなっていくだろう。同時に、習主席の独裁色が深まっていくのかどうかも注目されるところだ。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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