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蚊やブヨの虫刺され、ナメると危険!掻くのは絶対NG!皮膚炎が全身に広がり治療困難も

文=吉澤恵理/薬剤師
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蚊やブヨの虫刺され、ナメると危険!掻くのは絶対NG!皮膚炎が全身に広がり治療困難もの画像1「Thinkstock」より

 ヒアリやセアカゴケグモなど、外来生物の危険性が騒がれている。そういった毒性の強い虫は十分に気をつけたいものだが、身近に生息する蚊やブヨでも、刺されれば危険な症状を引き起こすこともある。

 夏は、海や山などアウトドアでの活動が多くなり、気づけば虫に刺され赤く腫れていたなどということが多いのも現実。通常であれば、虫さされによる炎症は時間の経過とともに改善する。しかし、場合によっては虫さされから皮膚炎が全身に広がることもあるため、「たかが虫さされ」と安易に考えてはいけない。皮疹が広範囲に広がる場合は「痒疹(ようしん)」が疑われるが、あまり知られていない。痒疹になると、その症状は日常生活に支障を来すほど悪化することもある。痒疹の悪化を防ぐには少しでも早い治療が必要なため、多くの人に痒疹について知っていただきたい。

「痒疹」とは

 痒疹と呼ばれる症状は、ポツポツとしたイボのようで硬い芯があり、ひどいかゆみを伴う皮疹が広範囲に現れる。この皮疹は、大豆くらいの大きさになることもあり、急性と慢性の症状がある。1カ月程度で完治するものは急性痒疹だが、慢性痒疹なら数年以上も症状が続くケースもあり治療には根気がいる。いずれの場合も、体の一部を虫にさされたあと広範囲に広がっていくので、早めに受診することが大切だ。急性、慢性ともにその症状は見た目に酷い場合が多く、患者のなかには蕁麻疹と勘違いした状態で受診する方もある。

 蚊やブヨなどの虫刺されに対する過剰なアレルギー反応により発症することもあれば、アレルギー性皮膚炎がなんらかの原因で痒疹になるケースもあり、はっきりとした原因は解明されていない。発症すると完治までは時間を要することも多く、治療が難しい疾患のひとつだ。また、慢性痒疹の場合は、ほかの疾患が関与している場合もあるので、安易に考えず速やかに受診してほしい。

 痒疹の治療は、ステロイド外用薬の使用と抗アレルギー薬の内服が一般的である。症状がひどい場合は、ステロイドの内服薬も使用する。症状によってはマクロライド系抗菌剤を服用する場合もある。さらに難治性の場合は紫外線照射、免疫抑制剤のシクロスポリンを内服するが、シクロスポリンは腎毒性や高血圧などの副作用が出る場合もあるので、経験のある皮膚科医のもとで計画的な服用が必要である。治療中は、肌への刺激を極力避けることが望ましい。患部を掻いてしまうと症状が広がることもあるので、痒みが強い場合は抗アレルギー薬で痒みのコントロールが必要だ。

 痒疹がひどい場合、改善後も色素沈着が残る場合がある。色素沈着は時間とともに薄くはなるが、薬を使用することで早い回復が期待できるので、医師に相談することをお勧めする。多くの場合は、ビタミンC配合剤、トラネキサム酸などを内服しながら、同時に保湿剤を患部に塗布するのが一般的だ。

 身近に生息する蚊やブヨといった虫に刺されることが痒疹の原因となることが多いので、普段から虫に刺されないように注意したい。ドラッグストアなどで販売されている虫よけスプレーも有効だが、ペパーミントやレモングラスなどのアロマオイルも効果があるのでお勧めだ。虫よけ、虫刺され薬の準備を万全にし、夏を満喫していただきたい。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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