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江川紹子の「事件ウオッチ」第83回

見過ごせない菅官房長官の「南スーダンは極めて安全な状況」発言…政府全体を覆う隠蔽体質を許すな

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記者会見で答える菅官房長官(画像は首相官邸HP)

 陸上自衛隊のPKO部隊の日報を隠蔽していた問題で、特別防衛監察の結果が公表され、稲田朋美防衛相や防衛省の黒江哲郎事務次官、陸上自衛隊の岡部俊哉陸上幕僚長ら防衛省・自衛隊のトップ3人が辞任した。

日報問題だけではない稲田氏の問題言動

 特別防衛監察の結果でも、稲田氏と陸自側の主張が違っていることに加え、辞任を表明する記者会見での、「総理は、かねてから私の正直な気持ちをお伝えして相談していた」という稲田氏の発言が、議論を呼んでいる。進退を相談するのであれば、その原因である自衛隊での日報隠蔽について話題にならないわけがないだろう。ところが安倍晋三首相は、7月24日の閉会中審査で、この問題について「まだ報告を受けていない」と明言。稲田発言と総理答弁は矛盾しているのではないか、との疑問が湧く。

 稲田氏を巡る批判は、日報隠蔽問題だけではない。森友学園問題では、事実と異なる国会答弁を行って謝罪し、都議選で自民党候補の応援を行った際には「防衛省、自衛隊、防衛大臣としてもお願いしたい」と発言。九州豪雨の際には、最大5,000人規模で自衛隊員が救助活動に励む中、稲田氏は公務外の「勉強会」に出掛けるなど政務三役がすべて役所を不在にしていたことも問題視された。そのほか、日米首脳によるハワイ・真珠湾で慰霊に同行した直後に靖国神社を参拝して物議を醸し、他の議員の政治資金パーティーに出席した際に白紙の領収をもらって金額を後から事務所で記載した件や、ハイヒールで護衛艦を視察するなど、時と場所をわきまえないファッションでもしばしば話題になった。

 安倍首相は、稲田氏辞任の後、「閣僚の任命責任はすべて総理大臣たる私にある」といつもの台詞を述べて謝罪した。しかし、こと稲田氏に関しては、防衛大臣として不適格な者を任命した責任にとどまらない。いくつもの問題が指摘され、さまざまな方面から「その任にあらず」と言われてきたにもかかわらず、彼女を防衛相の座に留めていた責任は軽くない。

 この時期まで引き延ばした結果、稲田氏ら防衛省・自衛隊のトップ3人が辞任したその夜に、北朝鮮がミサイル発射実験を行うという最悪のタイミングとなった。朝鮮戦争の休戦協定が締結された7月27日を「戦勝記念日」としている北朝鮮が、この日の前後にミサイル発射を行うのではないかと、前々から言われてきたもので、何も不意を突かれたわけではない。

 安倍首相はこれまで、「我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しております」と繰り返し、憲法違反との指摘を受けながらも安保法制を強行採決した。しかし、稲田氏を防衛相に置き続けていた安倍首相自身の「安全保障環境」に関する認識こそが、もっとも問われなければならないのではないか。

南スーダンは「極めて安全な状況」!?

 ところで、この日、私が一番驚いたのは、菅義偉官房長官の記者会見での言葉だった。

 日本テレビの記者が、「そもそも、南スーダンの現状について、一貫して『戦闘ではなく武力衝突』とする政府の答弁と、現場の感覚が乖離していたことが、一連の問題の根源なのではないかとの指摘があるが、どうか」と問うたのに、菅氏は次のように答えたのだった。

「そこはなかったと思いますよ。現に、南スーダンに派遣されたのは施設部隊である。道路等のそうしたこと(=整備)に従事していたんじゃなかったでしょうか。そして、極めて安全な状況の中で、PKO部隊として責務を果たして、大変感謝されていた。そういう事実だと思います」

「極めて安全な状況」には驚がくした。加えて、メディアがこの菅発言を大きな問題としてとらえていないのも、意外だった。

 ここで話題になっている時期は、南スーダンPKOの初めの頃の話ではない。公開された日報で「戦闘」という言葉が何度も出てくる昨年7月以降の状況だ。政府は「戦闘」という言葉を避け、「武力衝突」と言い続けてきたその時期に、何があったのか。

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