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江川紹子の「事件ウオッチ」第83回

見過ごせない菅官房長官の「南スーダンは極めて安全な状況」発言…政府全体を覆う隠蔽体質を許すな

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 先の『NHKスペシャル』によれば、今回の南スーダンでも、住民たちはPKO部隊に助けを求めた。中国軍が駐屯していた宿営地には2,000人の避難民が押し寄せ、中に反政府ゲリラが紛れ込み、宿営地にロケット砲を打ち込んで中国兵2人が死亡。また、自衛隊と同じ宿営地区に駐屯するルワンダ隊が、避難民約5,000人を受け入れた。ところが、その中にも反政府ゲリラの幹部が紛れ込んでいた。政府軍がルワンダ隊を攻撃し、負傷者が出て、隣のバングラディシュ軍が応戦する事態になった。自衛隊宿営地の前にも避難民は流れ込んできた、という。

 こうした厳しい現実を前提に、私たちはPKO法をどうするのか、日本は今後も自衛隊をPKOに送り出すのかを議論しなければならない。にもかかわらず、もっとも情報を持っている政府が、今回のPKO部隊が置かれた状況を「極めて安全」などと、実際とは異なる情報を国民に向けて発信しているようでは話にならないのではないか。

 しかも、NHKは何度も現地の部隊の取材を申し込んだが、ことごとく断られた、という。

 主権者である国民には、正確な情報を伝えられなければならない。これはもう、民主主義が健全に機能するための基本だろう。政府全体を覆っている隠蔽体質を、猛省してほしい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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