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がん検診・早期治療、医師が口をつぐむ「寿命は延びない」という真実

構成=編集部
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鳥集 16%は大きな数字に見えますが、1000人が15年間まじめに大腸がん検診を受け続けたとすると、大腸がんで6人死ぬはずが5人に減るといったぐらいの数字です。つまり、15年間で1000人のうち1人の命を救うぐらいの効果しかないのです。しかも、大腸がんによる死亡は1人減りますが、あらゆる要因で亡くなった人すべてをカウントする「総死亡率」で見ると、その効果はなくなってしまいます。

 総死亡率で見ると効果がなくなる大きな理由は、手術や薬によるダメージで命を縮めてしまう人もいるので、早期発見・早期治療の効果が相殺されてしまうからだと考えられています。こうした事実が国民に知らされていないことが一番の問題です。がん検診は皆が思うほど効果がないことを、まずは知っておく必要があります。

過剰医療の問題

――本書では、がん検診を受けることによって、がん患者が増えることも指摘されています。がんに限らず検診を受ければ、必然的に病気と認定される機会は増えますね。

鳥集 多くの人は、がんという病気はきちんと調べて見逃しなく発見すれば、いい結果になると思い込んでいます。しかし、がんと診断される病変のなかには、発病してからすごいスピードで進行してしまうものもあれば、放っておいても全然進行せずに、なかなか死に至らないものもあります。後者のような「のんびりがん」のほうが体内に存在する期間が長いので、がん検診をすればたくさん見つかりやすいのですが、もともと放置しても命取りにならならないことが多いので、早く見つけて治療してもあまり意味はないのです。

 とくに、前立腺がんや乳がんなどで、命取りにならない「のんびりがん」が多いと考えられており、検診が普及した結果、これらのがんは患者が不自然に増えてしまいました。前立腺がんは20年間で患者数が約7倍にも増えています。しかし、死亡者数はそれに比べると増えておらず、患者数と死亡者数とのギャップがどんどん開いています。

 本来、がん検診は、がんを早期に発見して治療することで、命が奪われてしまうのを予防するのが目的です。ですから、がん検診をいくら実施しても、死亡率が下がらなければ意味がありません。それどころか過剰にがんを見つけてしまうと、医療費を膨大に使うことになり、患者さんに対しても相当な心理的負担をかけることになります。こうした、命取りにならないがんを見つけてしまうことを“過剰診断”と言い、海外ではたくさんの論文が発表され、メディアでもしばしば問題として取り上げられています。今、がん治療に真面目に取り組んでいる医師たちの間では、過剰診断と、これにともなう過剰治療をいかに減らすかが、重要なテーマの一つとなっています。

『がん検診を信じるな~「早期発見・早期治療」のウソ』 国、自治体、医師、がんになった有名人、そして多くのメディアが、こぞって「がん検診」を推奨し、がんの「早期発見・早期治療」を呼びかけている。しかし、がん検診を受ければ命が救われるという“常識”はまったくのデタラメだった―。昨年、世界五大医学雑誌のひとつ『BMJ』に、「がん検診を受けても寿命がのびる科学的根拠は一切ない」という論文が掲載された。それ以上に問題なのは、検診によって、命を奪わない病変を「がん」と過剰診断されてしまうため、無用な検査や治療による健康被害に遭う人が急増していることだ。国ぐるみの“医療洗脳”から脱するために、必読の一冊! amazon_associate_logo.jpg

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