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「雑草系臨床心理士・杉山崇はこう考えます」

非常にやっかいな感情「怒り」、上手な扱い方&生産的な行動に転換する方法

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「Thinkstock」より

「もっと成果を出したい!」と思ってはいませんか? 今日は成果を出すために感情を味方につける方法をご紹介しましょう。

 感情は私たちの意欲の原動力です。サルを使った実験で感情の元になっている脳の器官(扁桃体)を切除すると、単に無感情になるだけでなく、極めて無気力になることがわかっています。感情は私たちを突き動かす鍵なのです。何かを成そうと思ったら、感情を上手に使わなければなりません。

 特に絶大なパワーを持つ感情のひとつが「怒り」です。怒りは目的を邪魔されたときに発生する感情です。万難を排除して、目的を成し遂げようとする活力を与えてくれます。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、そして田舎貴族からフランス帝国皇帝に上り詰めたナポレオン・ボナパルトも、時に爆発的な怒りを表して周囲を驚かせていたことで知られています。怒りを活力にしていたことは明らかです。

 ただ、怒りは取り扱い注意です。怒りは邪魔者を排除するために、私たちを攻撃行動に駆り立てます。私たちの身の回りには、むやみに怒ってしまって大切な人間関係にヒビが入るという例がたくさんあります。また、怒りに囚われるあまり、何も手につかずに無為な時間を過ごした、という経験がある人も多いでしょう。怒りは取り扱いを間違えるとあなたに害を与える破滅的な感情なのです。生産的な感情に変えるには上手な取り扱い方が必要です。

「攻撃の衝動としての怒り」を中和する


 私は怒りを生産的に使うために、「信号としての怒り」と「目的意識としての怒り」を上手に使って、「攻撃の衝動としての怒り」を中和することをオススメしています。

 何かに怒りを感じたということは、その場面であなたが大事にしている何かが阻害されたということです。怒りは、大事な何かを表す信号なのです。怒りのお陰で自分がほんとうに大事にしていることが確認できたのだと考えてください。これが信号としての怒りの使い方です。

 そして、あなたが大切にしている何かをどうすれば成し遂げられるのか考えてください。達成できるイメージを持てるくらいに、具体的にそのプロセスを思い描きましょう。人は未来に導かれる生き物です。目的意識を持つ、すなわち導かれるべき未来が明確であるほど、迷わずに行動できます。

 実はこの状態は脳にとっても良い状態で、苦痛を緩和する脳領域(VLPFC)が活性化しやすくなるのです。この脳領域は無計画な衝動を抑制してくれる機能も持っているので、攻撃の衝動としての怒りが中和されます。

 大事なポイントは、あなたに怒りを与えた誰かに心のスポットライトを集中させないことです。怒りの対象にスポットライトが当たっている間は攻撃的な衝動が生産され続けます。現代社会では過剰な攻撃は反感を招き、ときに処罰の対象にされてしまいます。衝動を行動にするわけにはいかず、苦悩とストレスを溜め込むことになります。こうなると、怒りはまったく生産性のない感情になり、成果に結びつかないのです。

 そのためにも、怒りを感じたら「何が大事なのか」「何ができるのか」に心のスポットライトを集中させて生産的に怒りを使いたいですよね。あなたが多くの成果に恵まれることを願っています。
(文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士)

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