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銀行とファンドのマネーゲームの道具にされた雪国まいたけ、ファンドが2年で株売却

文=編集部

銀行、投資ファンドが組んで創業者を追放

 東証2部上場の雪国まいたけは、創業社長の大平喜信氏が「幻のキノコ」と呼ばれていた、まいたけの人工栽培、量産化に成功したベンチャー企業だ。大平氏が不正会計問題で13年11月に辞任して以来、経営の混乱が続いた。

 14年6月27日の株主総会で、会長兼社長に元本田技研工業専務の鈴木克郎氏が就任。また、東亜燃料工業(現JXTGエネルギー)社長、日本銀行政策委員会審議委員、金融庁顧問を歴任した中原伸之氏や、人工雪のベンチャー企業スノーヴァ(現・アドバックス)元社長の大塚政尚氏、弁護士の荒木和男氏が社外取締役に就いた。

 だが、創業者側と経営陣が対立した。創業者側は15年3月末までに臨時株主総会の開催を請求した。一方の経営側は、この請求を、創業者一族を追放する絶好のチャンスと捉えた。

 そして経営陣はメインバンクの第四銀行、そしてベインとスクラムを組んだ。ベインは15年2月24日、雪国まいたけの株式公開買い付け(TOB)に踏み切った。買い付け総額は95億円。

 だが、創業家側が議決権のある株式の67.33%を所有しており、大平氏は支配株主だったため、TOBが成立することはあり得ないとみられていた。

 そこで経営陣は奇策に打って出た。

 第四銀行など複数の取引銀行は、創業家に雪国まいたけ株式を担保に融資していた。業績悪化で株価が下落し、担保価値が減少。融資の返済が滞っていたことを衝いたのだ。第四銀行は2月23日、担保にとっていた大平一族の資産管理会社である大平商事と、大平氏名義の株式の担保権を行使し、39.23%を持つ筆頭株主となった。取引銀行6行で、合わせて51.44%確保したほか、実質第3位の大株主の大和ハウス工業(持ち株比率4.61%)もTOBに応じたことから、ベインキャピタルのTOBが成立した。その結果、ベインは議決権総数の78%を握る断トツの筆頭株主になった。

 その後、残る株式もすべて取得し、5月15日開催の臨時株主総会でベイン日本法人の大和田正也副会長ら3人を社外取締役として迎えることを決定。6月16日、上場廃止となった。

 いわば、銀行が担保権を行使して創業家から株券を取りあげたわけで、第四銀行のメインバンクとしての行動に批判が集まった。

 雪国まいたけは減益決算だったが債務超過ではなかった。15年当時、株価が下落して金融機関からの融資が担保割れになっていた上場企業は数多くあった。だからといって、担保として差し入れられている株式を取りあげた銀行は皆無だ。双方合意の上で担保権を行使するのは珍しくないが、第四銀行はそうしなかった。極めて特異なケースといえる。

 関係者によると大平氏は、第四銀行およびベインキャピタルとの法廷闘争も辞さない構えだったが、相談した弁護士から「訴訟は無理」との結論を伝えられたという。

 大平氏は別の会社を立ち上げ、自分が持っているノウハウを生かしてまいたけの生産に乗り出したが、雪国まいたけと競うだけの企業規模にはなっていない。
(文=編集部)

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