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日本会議を直撃、誤解に反論…「安倍政権への働きかけはない」「戦前回帰は狙ってない」

構成=長井雄一朗/ライター
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――「日本会議は家父長制の復活を狙っている」との声もありますが。

村主 憲法改正における「家族」の条項の改正は、「国による保護の責務」を追加する点にあります。

 日本会議の家族政策を指して「理想の家族はサザエさん」という記事を掲載した新聞がありましたが、そのような一定の家族観を押しつけるような主張はしていません。

 現代において、両親が共働きなどの事情で家族が一緒にいられる時間が少なくなっています。これは、経済至上主義の弊害と考えます。そのため、家族が共に過ごせる時間を保障するなど、夫婦・親子共同体を保護することを国の責任の下で行うべきだと考えます。

 この点は強調しなければなりませんが、「家族の保護」といっても、我々は戦前の家父長制を復活さることなど、まったく考えておりません。一部報道にある「家父長制の復活」はまったくのデマです。

 大事なのは、家族が揃って安心して暮らせる生活を営むため、国が政策を立案する責任を持つということです。これは労働政策優先の国の政策に家族保護という柱を立てることになり、保守も革新もなく賛同を得られるテーマではないでしょうか。

 世界人権宣言は、「家庭は社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」(国際人権規約<自由権規約>も同趣旨)としており、このような規定は共通理解を得られるのではないですか。

「日本会議が安倍首相に働きかけた事実はない」

――安倍首相が突如、憲法改正の具体的な内容やスケジュールを示したことについては、一部で「日本会議が強く働きかけたのでは」という声もありますが、その真偽は。

村主 今回、日本会議が安倍首相に働きかけた事実はありません。逆に、何年も前から、「自衛隊を憲法に明記しよう」と啓発活動を展開してきました。日本会議としても、憲法改正の際に「自衛隊明記」はぜひ実現してほしいと考えています。そのため、今後も強く訴えていくつもりです。

――自衛隊を「軍隊」として規定する案については、いかがですか。

村主 日本国憲法の条文には、国家国民の安全を誰が守るのかが明記されていません。ですから、まず、自衛権の所在と自衛隊という組織を憲法に規定することに意味があると考えます。

 そもそも自衛隊員は、入隊に際して「日本国憲法と法令を遵守する」「危険を顧みない」という趣旨の宣誓を行います。自分たちの存在が違憲なのか合憲なのか明確でない憲法を守るために命をかけることは、国防の任にあたる隊員にとって、士気にかかわる問題です。

 自衛隊を政府の解釈だけでなく、明文上も「合憲」の存在とすることは、国民の自衛隊の活動への支持の高さを考えれば、最初の一歩として良策でしょう。軍隊とすべきかどうかは、次の課題として、さらに国民的議論をすればいいのではないでしょうか。

 日本会議は、数年前から「自衛隊の存在を憲法に明記しよう」という主張を行い、啓発活動を行っています。自衛隊は、東日本大震災や熊本地震で人命救助や災害復旧において多大な活躍をしています。政府の意識調査でも国民の約90%は自衛隊の活動を支持していますが、憲法学者の6割は違憲と主張していることが法曹界に大きな影響を与えています。

 それにもかかわらず、国会議員や有識者の間には、共通の理解がありません。自衛隊の存在については「違憲」「合憲」「違憲・合法」と、さまざまな意見が混在しているのが現実です。

 自衛隊の存在を憲法に明記するというのは、安全保障上の問題や自衛隊の地位向上を考えれば当然のことです。そもそも、自衛隊という自衛のための実力組織を持ちながら、それが憲法に規定されていないというのは、世界にも例のないきわめて異常な状況です。この状況を、一刻も早く改めるべきと考えています。

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