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こんな医師、やっぱりおかしくないか?患者の話を聞かない、過剰診療や医療費架空請求も蔓延

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「Thinkstock」より

 筆者は薬剤師という仕事を通して、これまでに多くの医師たちと関わる機会があった。そのなかで感じたのは、残念ながら必ずしもすべての医師が人格者というわけではないということだ。もちろん、医師といえども人間なのでパーソナリティの違いはあって当然で、たとえば態度が無愛想であっても腕が良く信頼できる医師もいる。だが、問題なのはモラルなき医師だ。なかには、医師法に違反している医師も少なくない。

 意外に知られていないようだが、診察をせずに処方箋を発行することは医師法違反だ。医師法第20条「無診察治療等の禁止」に、「医師は、自ら診察しないで処方せんを交付してはならない」と定められている。しかし、現実には診察せずに処方箋を発行している医師がいる。無診察で処方箋を発行し、医師法違反で逮捕される事例も起きている。

 また、保険医療養担当規則の第20条には、「濃厚(過剰)診療の禁止検査、投薬、注射、手術・処置等は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う必要がある」と記されている。薬の処方に関していえば、必要のない投薬は避けるべきと理解できる。しかし、不必要な長期投与や予防投与が行われている現状がある。一例を挙げれば、従来からビタミンB群製剤及びビタミンC製剤の「栄養補給目的」の投与については保険適用外とされているが、漫然と長期にわたり処方されているケースがある。過剰診療と判明すれば、医療機関は過去にさかのぼって診療報酬を返還させられるなどの厳しいペナルティが科せられる。

 さらに、保険医療養担当規則第19条の3には、「患者に対して、特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行ったり、指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益を受けることは禁止」とされている。

 現在、調剤薬局は約5万7000店あるといわれており、歯科医院や美容室に勝るほど多い。クリニックや医院は処方箋を患者に渡す際、近隣の調剤薬局の一覧なども渡して案内するのが一般的だが、一部の医師は特定の薬局への誘導を行っている。そういったケースでは、医師が薬局からなんらかの利益を受けていることが多い。現に、筆者が以前に勤務していた薬局では、その門前のクリニックのオーナー医師が自分で服用する薬を無料で渡していた。本来なら筆者は、薬剤師としての責務から厚生局に通報すべきだったが、薬局オーナーからパワハラを受けるなどで薬局を辞めざるを得ない結果となった。

患者からの聞き取り不足、患者への説明不足

 先述した「医師としてのモラルに欠ける3つの行為」を簡単にまとめると、「診察せずに処方箋を発行する」「不要な薬を処方する」「薬局から利益を得る」となる。

 残念なことではあるが、問題はモラルに欠ける行為をする医師だけではない。診察をしても1~2分しか時間を割かず、患者からの聞き取りや患者への説明を十分に行わない医師がいることも事実だ。医療機関内部のパワーバランスで、医師はトップにいるという環境がそうさせるのだろうか。しかし、不適切な処方や診療は、保険適用が認められず厚生局からの指導や「診療報酬返還」などを受ける結果となり、モラルなき医師たちもそういった経験をするなかで傲慢な態度が改められていくといった実態もある。

 厚生労働省の「保険医療機関等の指導及び監査の実施状況」によると、2014年度の診療報酬返還請求金額は、約133億2000万円だった。保険医療機関等の指定取り消しを受けた医療機関は41件に上る。不正の実態は、処方箋などの薬に関することだけでなく、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求などが多くを占める。不正発覚は、被保険者である患者が医療費通知をみて不審に感じて通報することなどが発端となっているようだ。

 断じて医師の不正による利益搾取を認めてはいけない。読者諸氏にも、自身の医療費通知の内訳などはしっかりと確認していただきたい。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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