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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

帯状疱疹の恐ろしい話…入院時の個室利用、実は支払い不要な差額を払わされる例多数?

文=新見正則/医学博士、医師
帯状疱疹の恐ろしい話…入院時の個室利用、実は支払い不要な差額を払わされる例多数?の画像1「Thinkstock」より

 今日は帯状疱疹の話から始まります。まず、“極論君”から会話が始まります。

「知人の母親が顔の片側に発疹ができて痛みも増してきたので、病院で受診したら、帯状疱疹だと診断されて、即日入院になったそうです。そして、子供にうつす可能性があるので、個室への入院を強制されて、毎日点滴を数回打たれて、その高額な個室代にびっくりしたそうです」

 まず、“常識君”の解説です。

「帯状疱疹は、以前に、通常は子供の頃に罹った水ぼうそう(水痘)のウイルスが神経の根本に潜んでいて、体の免疫力がちょっと落ちるとそのウイルスが元気を出して、そして神経の走行に沿って発疹を引き起こすのです。高齢者やほかに病気がある人、また顔面などの帯状疱疹は重症化することも多く、点滴を毎日数回行うと重症化が防げると思われているので入院を勧められることもあります。一方で、軽い帯状疱疹であれば、抗ウイルス薬の内服剤もあるので、通院で治療可能です」

 そして解説が続きます。

「帯状疱疹の人から、帯状疱疹がうつることはありません。帯状疱疹は水痘に感染した後しばらくしてから起こることがある病気なのです。帯状疱疹から水痘となることはあります。ですから、多くの病院では、水痘に罹ったことがない子供や、水痘ワクチンを打っていない子供との接触はご遠慮くださいといった案内をするはずです」

 極論君が尋ねます。

「帯状疱疹の入院で個室管理となるのは、医療上は致し方ないのですか?」

 常識君のコメントです。

「外来通院でも治療可能な場合もあるのですから、個室への入院が医療上絶対的適応ということはありません。しかし、水痘に罹患していない子供や大人には感染することがあるので、病院の方針として個室への入院を勧めることもあります。しかし、その場合は病院の方針としての個室管理ですので室料差額は請求できません」

 極論君がまた質問します。

「しかし、世の中では病院の方針なのに室料差額、いわゆる差額ベッド代を致し方なく払っている人は少なからずいます。そんなときはどうすればいいのですか?」

 常識君が答えます。

「室料差額は本人が個室を希望したときのみ請求できます。医療上の必要性や病院としてのルールで個室入院をお願いするときは請求できないのです。そんな当たり前のことが、世の中では理解されていません。また、病院も室料差額は大切な収入源なので、患者さんが希望したように、そして納得して選んだように上手に誘導する職員を配置することもあります」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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