NEW
成馬零一「ドラマ探訪記」

孤独な中年男性の悲哀を見事に描いた『わにとかげぎす』、丁寧すぎて残念な失敗

【この記事のキーワード】

, , , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
テッペン!水ドラ!!『わにとかげぎす』|TBSテレビ」より
 TBS系で水曜深夜に放送されているテレビドラマ『わにとかげぎす』は、夜間警備員として働く38歳の富岡ゆうじ(有田哲平)が主人公の物語だ。


 ある日、自分が孤独なことに気づいた富岡は、流れ星に「友達をください」と願う。その後、なぜかホームレスの男と知り合い、彼の借金を肩代わりしたり、隣で暮らしている妙な美女につきまとわれたりと、平凡だった富岡のまわりには次々と変化が訪れる。

 原作は人気漫画家・古谷実の同名漫画。古谷は、1990年代に大ヒットしたギャグ漫画『行け!稲中卓球部』(講談社)以降、高い評価を受けている漫画家だ。特に、ギャグ路線からシリアス路線に舵を切った『ヒミズ』(同)以降の2000年代の作品は高い文学性が絶賛されており、近年は映像化される機会も増えている。

有田哲平が演じる中年の悲哀、ハマり役の本田翼


 今回の『わにとかげぎす』(同)は、初のテレビドラマ化。10年前の作品の舞台を現代に移しているので細かい設定の変更はあるものの、原作の意図をくみ取ったドラマ化となっている。何より役者が魅力的だ。

 主人公の富岡は、漫画では「トランプのジョーカーのような顔」と形容され、あごが極端にとがっている長髪の男だった。そのため、くりぃむしちゅーの有田哲平が演じると知ったときは、「イメージが違うのではないか」と懸念した。

 しかし、いざ始まってみると、華やかな芸人としてのオーラが消えていて、根は真面目だが冴えない中年男性としての富岡を的確に演じている。漫画では32歳だった年齢が38歳に変更されたことも時代の変化に対応しており、孤独な中年男性が友達を欲しいと願ってしまう悲哀を際立たせている。

 また、ヒロインの羽田梓を演じる本田翼は、これ以上ないハマり役だ。古谷実の漫画には、冴えない男のことをなぜか好きになるキツい顔をした美女がよく登場するのだが、本田はそのイメージにぴったりだ。

 ほかにも、ミュージシャンのコムアイ(水曜日のカンパネラ)やラッパーのDOTAMAなど、普通のテレビドラマではなかなか見ないメンツが登場していて、物語の中にうまくハマっている。

 物語は、原作をなぞりながら中盤以降はオリジナルの展開となってきている。そもそも、漫画版は前半にすさまじい盛り上がりを見せた後で、後半は失速して小さいエピソードが細切れに続き、唐突に終わってしまったような感じになっていた。

 対してドラマ版では、物語終盤に出てくる羽田の元恋人で彼女の日常生活を盗撮したDVDを隠し持っている男を早い段階から登場させており、バラバラだったエピソードを群像劇としてうまくつなげようとしている。

 その意味で、原作の良さを踏まえた上で欠点をうまく補った映像化である。しかし、だからこそ、漫画と実写映像の違いがあぶり出されてしまったともいえる。

原作とドラマの決定的な違いとは?


 特に8月23日放送の第5話は、漫画版とドラマ版の違いが決定的に際立っていた。

孤独な中年男性の悲哀を見事に描いた『わにとかげぎす』、丁寧すぎて残念な失敗のページです。ビジネスジャーナルは、連載、TBSわにとかげぎすドラマ有田哲平本田翼の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!