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北朝鮮、在日米軍基地へのミサイル攻撃も選択肢…日米安保条約の当然の帰結

文=深笛義也/ライター
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米国が中国を経済封鎖なら戦争が不可避に

 北朝鮮ミサイル技術は格段に進歩しており、命中の精度も高まっているとされるが、これも中国の関与のおかげだという。

「宇宙関連のシステム開発に強いのは、アメリカ、ロシア、中国。中国は現在分かっているだけでも23基の人工衛星を使って『北斗』という衛星測位システムを運用しています。北朝鮮はミサイルの誘導に、この『北斗』を利用しているのです。中国が北朝鮮のミサイル発射を本気で止めようとするのであれば、『北斗』を使えないようにしたりミサイルを誤誘導したりして、北朝鮮に恥をかかせることもできるわけです」(同)

 国連安保理は、北朝鮮のミサイルおよび核兵器の開発を止めさせるために経済制裁決議を採択し続けてきた。

「北朝鮮にとって最も大きなダメージは、中国に石油の供給を止められること。しかし、中国にその気はないでしょう。国際社会は『経済制裁を強化する』とは言うものの、抽象的な内容が多く、具体的な制裁にはあまり踏み込んでいない。

 アメリカは北朝鮮に圧力をかけることを中国に求めていたが、その成果が芳しくないため、6月に遼寧省の丹東銀行に制裁を科しました。しかし、この丹東銀行というのは、日本でいえば地方の信用組合のようなもので、実際には制裁の効果は限定的です。

 中国工商銀行や中国建設銀行はアメリカに支店を展開しているため、仮に制裁対象になれば中国にとっては大打撃になるでしょう。ドル基軸通貨体制では、貿易などの国際決済は最終的にはニューヨークでドルで決済する必要があります。つまり、メジャーな銀行が制裁対象になれば、決済ができないために中国の貿易が崩壊することになります。

 ただ、それをやったら経済封鎖と同じなので、次は戦争になる。だから、アメリカとしても、なかなかできない。だから、8月下旬に出されたアメリカの追加制裁リストに中国の銀行は入っていなかったのです」(同)

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 再三にわたる経済制裁の効果がないのだとしたら、アメリカが軍事行動に踏み切る可能性もあるのだろうか。

「トランプ大統領が何を考えているのかはわかりませんが、国防総省というのは実はすごく理性的です。どの国でも同じですが、軍人は戦争を嫌がるもの。軍事力というのは抑止力だと考えているからです。

 一方、アメリカの国務省は日本の外務省と同じくらいのハト派で、しかも親中派。そのため、軍事行動には消極的でしょう。オバマ政権下では『ペンタゴン(国防総省)は黙れ』という感じで国務省主導でしたが、トランプ政権では逆に『国務省は、あっちに行け』という感じで、完全にペンタゴン主導です。

 また、ペンタゴンの連中は非常に訓練を積んでいます。マティス国防長官は、少将、中将、大将と昇進する間に実戦を経験し、何十回もの試験に通ってきた真のエリート軍人です。

 そのため、アメリカが軍事行動に踏み切るとしたら、トランプ大統領による政治判断しかない。タイミングとしては、来年でしょう。トランプ政権は支持率がどんどん下がってきており、共和党内も反トランプ状態です。このままいけば、来年の中間選挙で共和党が勝てないというところまで追い込まれるかもしれない。それをひっくり返す手段が、軍事行動に出るというものです。

 どの国でもそうですが、特にアメリカは戦争となれば大統領の下で団結するという伝統がある。そのため、トランプ大統領が戦争をやらないとは言い切れません。やるときは、やるんじゃないですか」(同)

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