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ローソン、「攻めすぎ」店舗に人気殺到…職場の中に出店、24時間ずっと地方名産品満載

文=編集部、協力=田矢信二/コンビニ研究家

 類似のサービスを展開している企業もある。だが、この「プチローソン」のセールスポイント・差別化のひとつに、セルフレジで、SuicaやPASMOといった交通系電子マネーが使えることがある。

「金融関係の企業では、オフィスで現金のやりとりが禁止されていることもあるようですし、現金の管理が大変という声も聞いています。そんな背景から、弊社の『プチローソン』で電子マネーが使えることを評価してくださるようです」(同)

 こちらの事業から見える「コンビニの未来」は「顧客を獲得するために前に出るという攻めの姿勢」だ。

「コンビニは、お客さまに店へ来ていただき満足を得てもらうため、さまざまな新規サービスを開発し、店内のレイアウトを常に見直すなどの改革・改善を重ねてきました。しかしながら、それはお客さまに来ていただくという“待ち”の姿勢だともいえます。我々が外に出て、新規のお客さまを開拓していくという“攻め”の姿勢が今後はさらに求められていくはずです」

 今後、さらに少子高齢化が進行するとなると、いわゆる「買い物難民」の問題は深刻化する一方だろう。「店舗の外に出て、職場環境を改善する」プチローソンが成功すれば、過疎地における移動販売など、サービスの進化もできるというわけだ。

コンビニ研究家・田矢信二氏は、ローソン流の多角化戦略をこう分析

 これまで、コンビニ業界で長く2位のポジションにいたローソンは、トップ企業の姿を追いかけていました。ですが、ファミリーマートとサークルKサンクスの運営母体である旧ユニーグループ・ホールディングスが経営統合を果たし、業界の歴史に残る再編が成功したことにより、今まで経験したことがない3位のポジションに位置を変えることになりました。

 こうした動きは、コンビニ業界がある側面で“店舗数ビジネス”であり、“宿命を背負った出店競争”を制覇することがある意味での“成功要因”であることを示しています。

 では、“青い看板のローソン”の魅力は、一体どこにあるのでしょうか?

 流通業界の革命児、流通王であった中内功氏が率いるダイエーの下で、青い看板に誇りを持ったローソンは誕生しました。その後、新浪剛史・玉塚元一体制、そして竹増貞信体制へと大きく変化していきました。

 それぞれのローソン時代で企業体質が変化するなか、苦労しながらも創意工夫して現場が鍛え上げられ、“ローソン流の多角化戦略”を進めていける筋力がついた印象を持ちました。

 まず、中内体制では「からあげクン」というコンビニを代表するファーストフーズが誕生。新浪・玉塚体制では、「おにぎり屋」「プレミアムロールケーキ」「マチカフェコーヒー」など、今までのコンビニ発想にない新機軸商品をドンドン打ち出していきました。

 こういったなかで、出店戦略でも独自の路線で展開していきました。その結果、病院内店舗では業界シェア1位であるし、美と健康特化型コンビニのナチュラルローソンをいち早く次世代型コンビニとして誕生させました。

 この背景には、ローソンという組織内に、ある程度自由度の高い意思決定ができる組織環境があるのではないかと推測します。実際に、ナチュラルローソンは社内ベンチャーに近い形態で発足しています。

 では、竹増社長率いる「成長を軸とするチャレンジ全員経営体制」では、“青い看板”はどのように未来へ向けたコンビニエンスを提供していくのでしょうか。コンビニ研究家なりに予測してみると、ひとつのキーワードが出てきます。それは、店舗オペレーションのIT化であると考えています。これには、2つの側面があり、ひとつは顧客満足度を高めるため、もうひとつは、店舗で働くパート・アルバイトの人手不足対策です。このマネジメントの両輪を回すためには、店舗オペレーションの簡易化が重要になってきます。この経営視点に関しては、経済産業省・パナソニックなどとタッグを組んでセルフレジなどの開発を進めています。

 最後に、“いまあるべき顧客”への「ヘビーユーザー支持向け商品」と“未来顧客”への「新規顧客支持向け商品」どちらにストロングポイントを明確にアプローチした商品開発をしていくのかが、消費者・コンビニ生活者として非常に楽しみであります。これが、ローソンの大きなターニングポイントになるだろとも思っています。さっそく、今までのローソンを超える新生ローソンにモデルチェンジしようとする“青い看板”のコンビニへ今日も買い物に行き、“ローソンらしい”商品を探そうと思います。
(文=編集部、協力=田矢信二/コンビニ研究家)

●田矢信二(たや・しんじ)/コンビニ研究家
セブンイレブンとローソンでの現場経験を活かし、出店調査・顧客満足度&従業員満足度調査・インバウンド調査等に関わり、企業講演・セミナーなどにも呼ばれる。最近では、中国企業や大手コンビニが集結したコンビニ業界特化型セミナーなどで講演。独自の情報をブログで発信。その口コミが評判で、テレビ・ラジオなどにもメディア出演。
代表著書『セブン-イレブン流98%のアルバイトが商売人に変わるノート』『ローソン流 アルバイトが商売人に育つ勉強会』。調査徹底企業の株式会社サーベイリサーチセンター所属。

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