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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

ファミリー向けマンション、大余剰時代突入の兆候…賃料&売買価格が大幅下落か

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

修繕積立金と建て替え

 もうひとつの理由は、修繕積立金と建て替えの問題です。通常、デベロッパーや販売会社は、売りやすくするため初期の修繕積立金を低く抑えて販売します。一方、初期はデベロッパー紐付きの管理会社が高額な管理費を設定して暴利をむさぼっていますが、これものちのち問題になり、後年、管理会社が変更されるというマンションも増えています。

 そのため、ほとんどのマンションでは大規模修繕のための資金が不足しがちで、徐々に値上げせざるを得ない状況に直面します。なかには一時金を徴収するマンションもあるようですが、なかなか組合員(所有者)の合意が得られず、段階的にアップさせるのが一般的です。

 しかし、あまり上げすぎると組合員からの反対も出るし、売るときにも売りにくいといった問題もあるでしょう。しかも、古くなればなるほど修繕にお金がかかるようになり、築40年とか50年になってくるとエレベーターや配管の交換なども必要になるなど、もはや次の大規模修繕ができるお金がないマンションも出てきます。

 そんなタイミングでやってくるのが建て替えです。現在と同規模のマンションに建て替える場合、一般的にではありますが、各戸1,000万円以上の拠出が必要です。建設当時に容積に余裕を持たせていた場合や当時以降に規制が緩和されている場合などは、戸数を増やしてその売却益で再建築費用を賄えることもありますが、かなりのレアケースです。

 このとき、いろいろな思惑・経済状況の人がいますから、合意形成はかなりの難関です。

 まだ元気な世帯であれば、建て替えに賛成する人も多いかもしれません。特に中古で買った人は、そもそも支払った金額が安いですから、ちょっとの支出で新築に住め、資産価値も上がるのはうれしいことです。

 しかし、「うちにはそんなお金はない」と言い出す人は当然います。住民が高齢化していれば、もはや自宅に多額のお金をかけたくない人も少なくないでしょう。建て替え工事の期間は、どこか賃貸に引っ越さなければなりませんから、それがストレスに感じて反対する人もいます。自分は資産価値を維持したくても、ほかの住民もそうとは限りません。自分には建て替えのためのお金があっても、ほかの住民もそうとは限らないのです。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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