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孫崎享「世界と日本の正体」

北朝鮮のミサイル攻撃、日本は迎撃不可能…すでに2百基のミサイルが日本を射程に配備

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(5)北朝鮮のミサイル開発、核兵器開発を阻止することは、国連決議、経済制裁などではできない。今まで数多くの制裁措置が取られてきたが、開発はどんどん進んでいる。

 今日、日本ができる制裁措置で、北朝鮮が「困った。これを受けるなら開発を止めよう」と思うものは何もない。米国も同じだ。

(6)過去、米国は核兵器・ミサイル開発を止めるために、なぜ先制攻撃を行わなかったのか。先制攻撃があれば、北朝鮮は当然、報復攻撃を韓国に行う。その被害があまりに大きい。だからできなかった。その状況は今日も変わらない。この点は、バノン主席戦略官が離任直前に発言している。

(7)北朝鮮の核兵器・ミサイル開発を阻止するためには、なぜ北朝鮮が開発をするかを考える必要がある。北朝鮮は、米国等が北朝鮮の体制、指導者を軍事行動で破壊しようとするのを抑止するために開発をしているとみるのが自然である。

 だとすれば、開発を阻止できる道は、西側諸国が北朝鮮の体制、指導者を軍事行動で破壊しないことを確約することである。しかし、米国はその約束をしないだけではなく、逆に体制を崩壊させる、指導者を抹殺することを目的のひとつとして、米韓軍事演習をしている。これが続く限り、開発は続く。

(8)「体制崩壊の軍事行動をしない」ということは、何も新しいことを要求することではない。国連憲章第2条は、次のように定めている。

「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」

(9)米国にとり緊張を高めることが、国内的、国際的に有利である。たとえば日本は膨大な軍事予算を持つが、武器の多くは米国からの購入となる。集団的自衛権で自衛隊を海外展開させることは、日本国内の米軍基地利用にもプラスである。また、韓国は経済的に中国に接近する可能性が高いが、これをやめさせることもできる。さらに米国国内事情としては、トランプ政権は支持率低下の中にあり、有事の際には大統領の下に結集すべきだとの論が成立する。ちなみに日本の安倍政権にとっては、内閣不支持率が高まるなか、安倍批判を減少できる。

(10)北朝鮮の金正恩・労働党委員長としては、自国に軍事行動されないのであれば、安心してミサイル実験を繰り返し、「米国からの圧力があるにもかかわらず断行する、我が政権は強い」と国威高揚上プラスとなる。

 以上のポイントを踏まえて、北朝鮮問題を分析していく必要がある。
(文=孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長)

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