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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

北朝鮮、欧米ら世界350社と合弁事業展開…米国は裏交渉、すでに北朝鮮でビジネス進出

文=浜田和幸/国際政治経済学者
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 しかも、注目すべきはTHAADの韓国内配備は北朝鮮にもメリットが大きい点だ。THAADの配備は中国にとってはかつてない脅威となっている。そのため、配備を容認し、追加配備にも前向きな韓国に対し、中国政府は猛反発。そのあおりを食って、中国内の韓国企業は次々と撤退を余儀なくされるようになった。また、韓国を訪問する中国人観光客は激減。中国と韓国の経済通商関係は悪化の一途である。韓国経済にとっては深刻な事態だ。

 結果的に中国との関係の冷え込む韓国は、北朝鮮との関係改善に活路を見いださざるを得ない状況に追い込まれている。これこそ、金委員長が大陸間弾道弾(ICBM)の開発によりアメリカを脅し、韓国へのTHAAD配備を進めさせた理由である。その狙いは中国を韓国、アメリカから引き離すことにほかならない。そうすれば、中国は否応なく、北朝鮮を支援することになるはずだ。

「北朝鮮は第2の中国」

 こうした深慮遠謀を企てているのが金委員長なのである。確かに、世界にとって最も謎の多い国の代名詞が北朝鮮であろう。55年前から経済データの公表をすべて中止しているお国柄だ。史上最年少ともいわれる、33歳の若き指導者、金委員長にしてもさまざまなミステリーが付きまとっている。その多くは根拠がはっきりしないもの。とはいえ、北朝鮮に関する情報はなかなか外部からはうかがい知れないため、噂に尾ひれが付きやすい。検証するのが難しいため、世界のメディアが好き勝手に誇張した独裁的指導者の姿を撒き散らしているのが現実である。

 幼いころから皇帝のような特殊な環境で育てられたため、自らがリスクを取ることには躊躇をしないという性格が身についているようだ。国家の最高指導者に就任してからも核開発やミサイルの発射実験など世界の批判を浴びながらも一向に動じる気配を見せていない。その背景には彼独自の深慮遠謀が隠されていると思われる。

「北朝鮮は第2の中国」を目指している。「1980年代の中国」と同じ状況であるという見方も、欧米の投資家の間では有名だ。韓国はじめ、中国、ロシアといった周辺国やアメリカ、イギリスの支援を得ることで、豊富な地下資源を開発することに成功すれば、北朝鮮は現在の中国のように急成長することが期待される。

 実は、2015年4月、北朝鮮のリスヨン外相はインドを訪問し、スワラジ外相との間で北朝鮮の地下資源開発と輸出契約の基本合意に達している。インドにとっては、中国と北朝鮮の関係が変化するなか、北朝鮮との資源外交を強化しようとの思惑が見え隠れする。要は、国境紛争やインド洋への影響力を強めつつある中国をけん制するためにも、北朝鮮を懐柔しようとするのがインドの狙いと思われる。

浜田和幸/国際政治経済学者

浜田和幸/国際政治経済学者

国際政治経済学者。前参議院議員、元総務大臣・外務大臣政務官。2020東京オリンピック招致委員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士

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