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鈴木祐司「メディアの今、そして次世代」

日テレ、緻密編成が完全成功で45カ月連続三冠王…日曜夜は5時間ずっと視聴率2桁

文=鈴木祐司/次世代メディア研究所代表

 そして11年、日テレの後塵を再び拝すようになり、その後フジは沈み続けた。1980年代にすい星の如く現れ、30年ほど首位争いの常連として栄光の日々を疾走し、直近5年で3冠王争いから消えていったのだ。

 一方、日テレは2012~13年度にテレビ朝日の躍進により三冠王を逃す。そして14年度以降、3期連続視聴率三冠王となっている。月間で数えると、今年8月までで45カ月連続の栄冠となる。しかも2位局との差を考慮すると、独走ぶりはこれまでにない盤石さだ。まさに日テレに“死角なし”と見える。

春改編はマイナーチェンジ

 日テレの三冠王争いは、過去30年ほどに及ぶ。これをG帯視聴率でみると、過去10年以上、12%台と極めて安定している。この状況を受けて、同局の改編はここ何年も小幅に留まっていた。今春の改編も、土曜夜9時からの『土曜ドラマ』を、夜10時からの『嵐にしやがれ』と入れ替えた程度だった。

 今回の改編でのポイントとして、日テレは以下3点を挙げていた。

・タイムテーブルの要衝である夜9時台の強化
・曜日ごとの視聴フローの改善
・ドラマ3枠のコンセプト再設定

 つまり、すべては土曜の夜に課題が集中していたのである。

 日曜夜帯は、近年稀にみる“日テレの独壇場”となっている。夕方5時30分からの『笑点』に始まり、6時『真相報道 バンキシャ!』、7時『ザ!鉄腕!DASH!!』、8時『世界の果てまでイッテQ!』、9時『行列のできる法律相談所』、10時『おしゃれイズム』まで、5時間にわたり安定的に2桁を取り、しかも7~10時の3時間に至っては20%近い数字となることも多い。G帯視聴率でいえば、日曜のみで平均を1%ほど押し上げていたのである。

 この強さを土曜日にも実現しようとしたのが、今期春改編の目玉だった。前期までは、夜7時『天才!志村どうぶつ園』、8時『世界一受けたい授業』、9時『土曜ドラマ』、10時『嵐にしやがれ』の並びだった。このうち9時と10時を入れ替え、バラエティを3本並べ視聴率を安定させようとしたのである。

 この結果、G帯では『金曜ロードSHOW!』以外の全番組がバラエティとなった。しかも月・火・木・日も、夜10時台にバラエティが並ぶ。年間を通じて安定した数字を確保するならバラエティが確実、という考え方に徹した編成といえよう。前年度までのトップの座を、行けるところまで維持し続けるという意思が表れた編成だった。

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

東京大学文学部卒業後にNHK入局。ドキュメンタリー番組などの制作の後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。メディアの送り手・コンテンツ・受け手がどう変化していくのかを取材・分析。特に既存メディアと新興メディアがどう連携していくのかに関心を持つ。代表作にテレビ60周年特集「1000人が考えるテレビ ミライ」、放送記念日特集「テレビ 60年目の問いかけ」など。オンラインフォーラムやヤフー個人でも発信中。
次世代メディア研究所のHP

Twitter:@ysgenko

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