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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

会社の人事、脱ヒト依存→データ活用で驚きの成果…人事×マーケティング=HR tech

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員

 HR techの取り組みに話を戻すと、別の企業B社では、従業員のエンゲージメントを向上させるために、ひとひねり手の込んだことをしている。エンゲージメントの高い従業員と、そうでない従業員を分け、両者のメールで使用される単語の違いや、出社時間・退社時間の違い、有給休暇の取得率・タイミングの違い、オフィス内での動きの違い(※あらかじめ従業員の移動を記録できるリストバンドを渡して装着してもらう)などから、どこに違いがあり、そのギャップをどのように解消するかに取り組んでいるのだ。ここまでやられると、従業員のほうもいくら仕事とはいえ、すべて監視されているようでやりづらいといった声も上がってはいた。

 いずれにせよ、従業員のエンゲージメントをKPIとし、データとテクノロジーに基づいていかに効率的に向上させていくかといった取り組みが日進月歩で行われており、企業の競争力を大きく左右する時代になりつつある。

人事領域(HR)とマーケティング領域の融合

 
 上記以外にもデータを活用したエンゲージメント向上のアプローチが紹介されていたが、共通して浮かび上がってきたのは、人事領域とマーケティング領域の融合だ。これまで、社内の関係者に働きかけをする人事領域と、社外のユーザーにアプローチするマーケティングはまったく別々の道を歩んできたが、ここにきて「データ」×「人を動かす」という共通のキーの下、人事領域でもマーケティングのセグメント別(もしくは、One to One)の考えを積極的に取り入れるようになってきている。

 人事領域の場合、分析し、働きかける対象となる従業員のデータは、オンライン・オフラインを問わず、リアルタイムで手軽に入手しやすい。今後、この領域はデータの蓄積とともに関連する分析ツールも増えることで、急速に市場が拡大する可能性がある。現状では人事担当者とマーケターは、日常業務での接点が少ないのが大半だろうが、お互いのアイデアや知見を共有することで人事領域に新しいイノベーションが生まれ、ひいてはその企業の飛躍的な競争力の向上にもつながっていくことだろう。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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