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ハリウッド映画に隠された驚愕のメッセージの数々…町山智浩が「今のアメリカ」を解読!

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『今のアメリカがわかる映画100本』(町山智浩/サイゾー)

 ハリウッド映画を見ていると、笑いどころらしいが意味がよくわからないといったシーンにしばしば遭遇する。また、アメリカ人なら映画のテーマや下敷きとなった題材を瞬時に理解できるのに、日本人であるがゆえにいまひとつ意味がわからないといった場合もある。ほとんどの場合は「アメリカ人にはわかる話なんだろうな」と思って流すしかないが、もし意味がわかればもっと映画の楽しさが増すに違いない--。それをかなえてくれるのが本書である。

 『今のアメリカがわかる映画100本』(町山智浩/サイゾー)は、2007年から約10年間にわたって「月刊サイゾー」に連載されたコラム「映画でわかる アメリカがわかる」から100本を集めたもの。筆者によれば、このタイトルには「アメリカ映画を観るとアメリカのことがよくわかる」との意味があるが、同時に「アメリカのことを知らないと、アメリカ映画はよくわからない」とも言えるのだという。

 一例として、筆者は2016年公開で日本でもヒットしたディズニー映画『ズートピア』を引き合いに出す。アメリカの映画館で大爆笑が起きたのは、キツネが羊の頭のもふもふした毛を触ろうとして手を伸ばすも、ウサギに「ダメ!」と止められるシーンだったという。日本人にとっては「クスッ」と笑う程度でしかないのに、なぜアメリカ人はそんなに大ウケするのか。そのわけは、このシーンがアフリカ系の人にとっての「あるある」を表現していたから。アフリカ系以外の人種の人々は彼らのチリチリした髪をやたらに触りたがるため、とてもうんざりしているのだという。

 また、ヒロインのウサギがヒョウに「かわいいね」と褒められるも、「ウサギ以外の動物がウサギにカワイイねと言うのは……」ととがめるシーンもあった。日本人にとっては単なる理不尽な台詞でしかないが、これにもアメリカ人にはわかる意味が込められているのだという。アメリカには、同じ人種同士では使えても、違う人種が使うと差別になる言葉がある。たとえば、日本人は「ニガー」が差別的な用語であると認識しているが、これが半分しか正解ではない。黒人が黒人に対して「ニガー」と呼びかける際は、「同胞」としての意味合いを持つのだ。

ハリウッド映画のもう一方の“顔”

 そもそも『ズートピア』は、さまざまな動物たちが共存する都市を描いた作品。日本人はこれを言葉通りに動物たちが主役の作品として受け取るが、当のアメリカ人は違う。さまざまな動物たちが共存する都市とは、多様な背景を持つ人々が共生するアメリカの象徴にほかならないと最初から気付いた上で映画を観るのだ。そう考えると、日本人がこれまで、いかに何もわからないままにハリウッド映画を観てきたかに気付かされるのではないだろうか。

 本書に収められた100の作品には、『ズートピア』と同じく黒人にまつわるテーマを扱ったものが多い。黒人差別の歴史は、それだけアメリカ人の記憶に刻み込まれており、なおかつ今なお訴え続けなければならない問題であることの証拠なのだろう。

 それ以外にも、社会を揺るがせた事件やスキャンダルなどをもとにした映画がとても多いことにも気付かされる。ハリウッドといえば、派手なアクションが売り物の娯楽作品や大作アニメにばかり目を奪われがちだが、その一方では常に社会問題を世に問いかけ、世界を変えるための戦いを続けてきたのだ。映画好きにはもちろんのこと、アメリカの社会や文化をより深く知りたい人にもぜひおすすめしたい一冊だ。
(文=編集部)

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