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派遣・契約社員等、通算5年超だと無条件で定年まで労働可能に…8割の社員が制度知らず

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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 労働組合の中央組織である連合が全国の20歳~59歳の有期契約労働者を対象に行った調査(17年7月20日発表)によると、「ルールの内容まで知っていた」人はわずかに15.9%。「ルールができたことは知っているが、内容までは知らなかった」が32.9%。そして「ルールができたことを知らなかった」が51.2%と半数に上っている。内容まで知らなかった人を合計すると84.1%に上る。

 すでに無期転換開始まで1年を切っているというのに、有期契約労働者にとってこんな大事なことを知らないというのはちょっと異常ではないだろうか。このような事態が生じている理由は、じつは会社が有期契約社員に知らせていないからである。

 なぜなら労働政策研究・研修機構の企業調査(常用労働者10人以上を雇用する9639社を集計/5月23日発表)によると、企業の半数は「改正内容まで知っている」と回答し、「改正されたことを知っている」と回答した企業を合計すると9割弱になる。ほとんどの企業は無期転換できることは知っている。

 また、連合の調査ではルールができたことを知っていた有期契約労働者に、どこで知ったのかを尋ねている。「マスコミ(テレビや新聞報道など)」が最も多く、50.7%。「インターネット」が26.0%であり、「勤務先からの説明」は35.9%にすぎなかった。この結果を見ても企業は無期転換ルールをあえて従業員に周知しないようにしているとしか思えない。

 その最大の理由は有期契約労働者を無期雇用にすれば、必要に応じていつでもクビを切れる便利な「雇用の調整弁」としてのメリットがなくなるからである。できれば今のままの契約更新の仕組みを温存したいのだ。

懸念される「雇止め

 無期転換ルールに企業はどのように対応しようとしているのか。多くの顧問先企業を抱える社会保険労務士はこう指摘する。

「大手小売業やサービス業のように正社員を含めてパート、アルバイトの確保が非常に厳しい企業は正社員化していきたい企業が多い。なかには5年の無期転換を待たずに、正社員に登用するなど囲い込みを図っている企業もあります。でもこれは全体からいえば、一部の企業にすぎません。メーカー系など正社員が全体の9割超を占めるような企業など、対象者が少ない企業は積極的に無期雇用化をしようとは考えていませんし、従業員への周知もしていないのが実状です。

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