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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

暑い日の多量水分補給、かえって危険な場合も?突然のめまいや脈異常…医師が解説

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原式「冷」「水」「痛み」の三角関係図

 次に、私が考案したので勝手に「石原式『冷』『水』『痛み』の三角関係図」と呼ばせてもらっている現象について説明する。

 冷房の効いた部屋に長時間いたり、寒い日は神経痛やリウマチの痛みがひどくなる(冷→痛)人がいらっしゃる。「雨が降る日は、頭痛や腰痛もちの人は、痛みがひどくなることが少なくない(水→痛)」。「雨にぬれると、体が冷える(水→冷)」のごとく「冷」「水」「痛み」の事象は、相互に関連している。

 人体は36.5℃以上の体温で健常なる生命活動ができるように設計されているのだから、体が冷えると種々の症状が発現してくるし、体を温めようとする反応が表れる。

 1日のうちで、体温・気温とも最低になる午前3時から5時には、ぜんそくの発作、アトピーの人の痒み、潰瘍性大腸炎の人の腹痛がひどくなりがちであるし、不眠症の人が目を覚ますのもこの時刻が多い。1日のうちで、一番死亡者が多いのも、自殺者が多いのも、この時間帯だ。つまり、冷えるとロクなことはない。

 よって、人体は冷えると冷やす原因である水分を体外へ捨てて、体を温めようとする。「寝冷えすると下痢(水様便)する」「冷えて風邪をひくと、鼻水、くしゃみを出す」「偏頭痛もちの人が、嘔吐(胃液)という水分の排泄をする」「大病すると寝汗(水分)をかく」「体温の低い老人が、夜間頻尿で悩む」等はすべて、体を冷やす体内の余分な水分を体外へ排泄して、体を温め、健康になろうとする反応である。

 これでも十分に水分が排泄できないと、体温を上げて水分を消費しようとする。1分間の脈が「8~10」速くなると、体温は1℃上がる。

 これで前述の救急車騒動を起こした奥さんの症状の原因が、水分過剰(水毒)であることがおわかりいただけたと思う。

健康に良い適切な摂取法

 蛇足だが、「めまい」は内耳のなかで平衡を調節しているリンパ液(という水分)の過剰で起こるし、吐き気や嘔吐は、胃のなかの余分な水分を捨てようとする反応である。

「水毒」という概念が西洋医学にはないので、天下の東大病院でも、一連の症状の原因がつかめなかったということだろう。身体の本能が欲しない水分を無理して摂ると、思わぬ症状が発現するのだ。生命にとって一番大切な空気(酸素)も吸い込みすぎると、不安、痙攣、失神などを伴う「過呼吸症候群」が発現することがある。よって、ヨガでもアーユルヴェーダでも、昔からの伝承医学では「息は7秒くらいで吐いて、その後3秒くらいで吸い込む」ことが健康に良い、とされている。

 つまり、「呼吸(吐いて吸う)」という言葉も、それを表している。暑くなると熱中症の予防のためにと水分摂取をすすめられるが、運動、入浴、サウナなどで排泄(発汗、排尿)してから、本能が欲する量だけ飲むことこそが、健康に良い適切な摂取法といえる。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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