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世界的にガソリン車禁止へ…トヨタが敗者に転落すれば、日本の製造業終焉の可能性

文=編集部
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トヨタ、全固体電池で猛烈な巻き返しか

 一方、HVで世界の王者に上り詰めたトヨタも、EVを避けて通れなくなった。16年末、EV開発に向けて豊田章男社長直属の新組織を設置した。今年8月4日には、マツダと業務資本提携し、EVの共同開発に乗り出した。

「EVに必要なモーターやインバーターはHV、PHV(プラグインハイブリッド車)で使っており、(HVなどは)100万台規模でつくっている。トヨタには十分競争力がある」とトヨタの幹部は自信をみせる。さらに、「本格的な投入時期を2020年以降と考えれば、まだ十分なアドバンテージがある」とも言う。

 豊田氏は「EVをコモディティ化(汎用化)しないために、“クルマ愛”を大事にするマツダと組むことにした」と語っている。

 確かに、資金力があるので、トヨタが本気でEVにシフトすれば、まだ間に合うとみる自動車関係者は多い。

 米アップルや米グーグルなどのIT企業も、EVに参入している。IT企業は工場を持たない「ファブレス経営」だ。設計や技術開発、研究開発に専念して、生産は他社に委託するという小回りの利く勝負に徹するだろう。

 グーグル、アップル、アマゾン・ドット・コムなど、新しい領域のステークホルダーが自動車産業に参入してきており、トヨタの正面の敵はテスラ、その背後にいる巨大な競争相手がIT企業ということになる。

 いまや日本の製造業のなかで、グローバルに戦えるのは自動車ぐらいしかない。経済産業省が作成した16年度版「通商白書」は、「自動車の一本足打法」と警鐘を鳴らしている。

 トヨタは全固体電池の開発を急ぐ。航続距離は現行のリチウムイオン電池搭載EVの3倍に伸びる。急速充電でも30分はかかっていた充電時間が数分で済むという、“夢の電池”だ。

 トヨタは20年代前半に全固体電池を搭載したEVを市場に投入する計画だ。早ければ22年にも登場するとみられている。

 全固体電池は燃えにくい固体の電解質を使うため、リチウムイオン電池の最大の欠点だった液漏れや発火の危険が少ない。電池の正極と負極の接触を防ぐセパレーターも不要だ。トヨタは東京工業大学と共同で全固体電池を開発した。

 全固体電池を搭載したEVがトヨタの計画通り市販できれば、トヨタはEVの世界市場で主導権を握ることができると専門家は予測する。夢の電池で一発逆転もあり得る。

 トヨタは8月28日、設立から80周年を迎えた。自動車業界は「海図なき、前例のない戦い」(豊田氏)に突入している。トヨタがEVで勝てなければ、日本の製造業は危機を迎えるだろう。

2030年時点でEVのシェアは1割以下?

 16年時点で、世界のEV販売が自動車販売全体に占める割合は1%にも満たない。30年時点でも最大2割、場合によっては1割以下という厳しい予測もある。

 価格、走行距離やガソリンの給油に比べて充電時間が長いEVが普及するかどうかの決め手は、価格と性能にかかっている。各国政府や米国各州の考え方の違いはあるが、「消費者がEVに乗らなければならない理由はない」(証券アナリスト)とのシビアな見方もある。EVの普及はまだまだ、これからだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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