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中国、世界自動車市場の主役へ…日本メーカーは三流化&エンジン技術無価値化の可能性

文=井上隆一郎/桜美林大学教授
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潮目の変化は欧州から

 しかし、この状況を大きく変えるのではないかという動きが、7月に欧州から生じた。まずフランス政府が7月初め、2040年をメドに地球温暖化の原因物質である二酸化炭素の排出を抑制するため、ガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する、と発表した。さらに7月末にはイギリス政府が、フランスの発表に追随するかたちでまったく同様な発表を行った。

 その結果、年間500万台から600万台の販売台数、EU市場の3分の1以上を占める仏英両国で2040年には内燃機関の自動車の新車は販売されないことになる。この決定に、他のEU諸国も追随する可能性は大きい。そうなれば、あるいはそうなると予想すれば、EU最大の市場で最大の自動車生産国であるドイツも同様な方向に舵を切るのではないか、と思われる。

 8月ドイツのメルケル首相は、この仏英の内燃機関排除の考え方に「基本的に理解できる」と発表した。具体的な政策についての言及は避けたが、ドイツとしても同様な方向を模索するということである。具体的な政策が出てくるのは本年9月の総選挙以降だと思われるが、このドイツの動向の見極めがカギを握っている。

 実は、世界最大の自動車市場で、かつ世界最大の自動車生産国である中国では、10年以上前から政府が電気自動車への転換の旗を掲げている。都市における大気汚染問題、自国自動車産業の競争力強化から、強力にこれを推進しようとしていることは事実である。16年には、補助金増額の効果、都市部のナンバー発行規制の免除などが奏功して、EV(PHEV含む)の販売台数は、世界最大の約65万台を記録したことも注目しておくべきだろう。

 また、あまり注目されてこなかったが、17年6月初め、インド政府も30年には国内販売はEVに限るという政策を発表している。フランスのユロ環境大臣も前述の政策発表の際にインド政府の政策に言及している。

 このように、17年は欧州先進国で明確な脱化石燃料、脱内燃機関への方向が出されたことにより、もともと新興国の二大大国であるインド、中国のEV計画にさらに勢いがつくものと予想できる。また、仏英の流れは、EU諸国はもちろん、日本も含む先進国へと波及するものと考える。従来考えられていた車種構成(図1参照)よりもEVの比率が大きく高まるだろう。

 内燃機関やハイブリッド車を単純に放棄することは考えられないが、世界の主要自動車メーカーはこれまで以上にEVに重点を置く方向へと、舵を大きく切ろうとしているとみて間違いないだろう。

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