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美術館の超貴重な展示品、ミスで破損したらどうなる?実は珍しくない?

文=小林倫太郎/A4studio
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展覧会を行う際にはお借りする美術品に保険をかけますので、事故があった場合は、保険会社から美術品の保有者に対して賠償金が支払われます。しかし賠償金はあくまでも、破損があった美術品を修復するのに必要とされる額です。仮に10億円の価値がある美術品だったとしても、亡失や焼失の場合を除けば、その評価額が支払われるわけではありません。

 また、修復が不可能なほどの損壊があった場合ですと、貸し出した側の美術館と保険の専門家、さらにご存命であれば作者のかたを交えて相談し、理想の形を決めていくことになると思われます」(同)

 美術品には、あらかじめ展覧会の予算で保険をかけるため、美術館や輸送業者が賠償金を直接負担することはないらしい。そうはいっても、美術品の事故は館や企業の信用問題に大きく関わってくるという。

「展覧会には一から美術館で企画を立ち上げるケースもあれば、企画会社が展示品の選定から貸し借りの交渉まで終えている企画を、美術館が購入するケースもあります。後者の場合、企画会社がどこの輸送業者に依頼するかを決めていたとしても、そこに対して美術館側が不安を感じてしまえば、別の企業を改めて指定することも考えられるでしょう」(同)

 世の中の美術館は、昨今の展覧会需要の高まりを受け、また、所蔵するコレクションの館外での活用や普及にもつながるため、貸し出せる美術品はできるだけ貸し出そうという方針に変わってきており、その普及に努めているのだと貴家氏は語る。損壊の恐れがあり、従来は滅多に外へ出てこなかったような美術品も、今後は展覧会への出品機会が増えるのかもしれない。

 これはもちろん歓迎すべき時流だが、展覧会を運営する側も観る側も、美術品の扱いにはより一層の慎重を期す必要があるだろう。
(文=小林倫太郎/A4studio)

■三重県立美術館 展覧会情報

開館35周年記念Ⅲ 本居宣長展
会期:9月30日(土)~11月26日(日)
休館日:毎週月曜日(10月9日開館)、10月10日休館
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

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