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東大、職員4800人雇い止めで失職も…組合と大学側が全面対決、国の働き方改革に逆行

文=深笛義也/ライター
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現場の実務の実態を無視

 東大有期雇用教職員には、2つのタイプがある。ひとつは、週38時間45分働くフルタイムで月給制の「特定有期雇用教職員」だ。もうひとつは、週35時間以内のパートタイムで時間給制の「短時間勤務有期雇用教職員」だ。2人が特に力説したのは後者についてだ。

「ワークシェアリングの考え方が進んでいるヨーロッパでは、部長と次長が両方ともパートタイムで、部長が週に3日出てくる。残りの2日を次長が出てくるということがある。2人とも、子育て中のお母さんだったりするわけですよ。だけど会社に行けば、管理職として2人のどちらかがそこにいる。そういう多様な働き方を認めようというのが、今の世の中の潮流であるにもかかわらず、『フルタイムはいい仕事』『パートタイムは単純な反復作業』というような変な身分差別を設けているのが、東大本部のやり方です。子育て中だとか、病気の親を抱えているとか、家庭責任があって、週2~3日しか働けなくとも、本当にいい仕事をしたいという人はいっぱいいるのに、そんなこと一切考えてない。想像もしたことがない。中年男性正社員だけの人事担当者は、こういうことがみえてないです」(佐々木氏)

 話をしていると、少年が「家庭責任って何?」と聞く。「君がここにいるってことだよ」と佐々木氏が答えた。

 東京大学は来年4月以降、公募選考で採用されれば有期雇用の職員が無期雇用になれる新しい雇用形態をつくるとしている。しかし、これはフルタイムの労働者についてである。現在フルタイムの労働者でも、採用されなければ仕事を失う。パートタイムの労働者なら、フルタイムへの道を選ぶのでなければ、そもそも応募できない。

「東大は『週2~3日で無期転換なんてみみっちいこと言わないで、もっといい職をちゃんと用意するから、こっちに応募してくださいよ』と言っているわけです。『単純な作業を週に3日、それを5年以上やるなんて辛いでしょう』というようなことを説明会でも言っています」(佐々木氏)

「うちの研究室の秘書さんは、週3日の勤務です。『夫の扶養の範囲で働きたいから、3日でいいです。時間も短くしてほしい』と本人が言って、うまく調整して働いてもらっている。実際3日間と残業で、なんとかこなせる業務量なんですよ。それがフルタイムになったら、どっちも困っちゃう。こちらには予算に限りがあるわけだし、秘書さんは扶養から外れてしまう。どっちにとっても、いいことはないのです」(高橋氏)

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