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「透明性」謳う都民ファ、禁煙条例を都民からの公募意見を非公開のまま採決

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東京都議会議場

 10月5日に閉会した東京都議会で、ひとつの条例案がスピード成立した。小池百合子都知事肝いりの、子どもを受動喫煙から守る条例案だ。7月の都議選で、ほかの政党との差別化を図るために都民ファーストの会(都民ファ)が公約に掲げたものである。同案は議員提案で、都民ファと公明党、そして民進党が9月27日に共同提出した。

 10月5日の本会議では、都民ファ、公明党、民進党、共産党が賛成、自民党が反対。賛成多数で可決・成立した。議員提案の政策条例としては、2011年の省エネルギー推進関連条例以来、6年ぶりのことになる。

 都議2人が離党するなど混乱が続く都民ファにとって、初の都議会定例会でなんとか“成果”を残したかたちになったわけだが、その成立過程を振り返ってみよう。

 共同提出2日後の9月29日、厚生委員会で同条例案を議員同士が審議する「議員間討議」が行われた。提出側の都民ファ・岡本光樹都議は、「子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることは困難。啓発を高めるために条例が必要」と、提案理由を説明した。

 これに対して、自民党の小宮安里都議が性急な法規制に疑問を呈した。子どものいる部屋などでの禁煙を求める内容に対して、私的空間に行政が踏み込むことを問題視する小宮氏は、「条例ではなく、ほかのやり方があるのではないか」「都民を巻き込んだ議論が必要」として継続審査を求めた。さらに、都民ファや公明党が条例案についての意見公募を行いながら、その結果を公表していない点、条例化にあたっての実態調査が行われていない点などを指摘し、条例化の動きが拙速すぎると批判した。

 こうした指摘に対し岡本氏は、「最近の児童虐待やDV(家庭内暴力)で、法は家庭に関与すべきとの考え方。子どもの受動喫煙は児童虐待に近い」と反論。あらためて早期制定の必要性、啓発の重要性を強調した。

 この日の審議(質疑)は、午後5時25分から6時50分過ぎまでの約1時間半。提案側は持論を繰り返すばかりで、深みのある議論とは言いがたいものだった。

審議、情報公開は十分だったのか

 翌週の10月3日、午後1時から厚生委員会が開かれ、早くも採決の場を迎えた。冒頭、自民党都議から「継続審査」の動議が出されたが、賛成少数で否決。前回同様、自民党、共産党、都民ファが意見を述べた。共産党は賛成、自民党は反対だった。その後の採決で10人が起立、賛成多数で条例案は可決された。閉会は午後1時18分だった。

 続く5日の本会議。各党の代表者が意見を表明する討論が行われた後、採決が行われ、賛成多数で可決、成立した。

 結局、2回の委員会での審議時間は、合計約1時間40分だった。しかも、委員長以下14名いるメンバーのうち、発言したのはごく一部の議員。いろいろな角度から検証して意見を述べて議論を深めたとはいいがたく、医学や法律などの専門家を招致して意見を聴取する必要があったとの指摘もある。

 都民ファは都政改革を訴え、情報公開や透明性を主張しているが、同案に対する意見公募の内容を公開しなかった。8月30日から9月8日までに470件の意見が寄せられ、賛成、反対がそれぞれ4割、不明が2割との情報だけは明らかにされているが、都民ファのホームページには、まったく公開されていない。この点について岡本氏は「マスコミの個別取材には応じた」としたが、進んで公表すべきではなかったのか。

 条例案の附則には、「都は、施行日から起算して1年後に状況について検討を加え、結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と記されている。1年後には罰則導入もあり得る。

 今回、都議会のホームページで条例案の内容を確認できるようになったのは条例が成立した後のことで、都民ファもフェイスブックで条例案の概要を公表しただけだった。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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