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憲法改正と電通、国民投票の危険な欠陥…巧妙な情報操作でメディアと国民は改憲に傾く

文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者
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――広告宣伝費の上限に規制がなければ当然、資金力がある改憲派が有利ですね。

本間 そのとおりです。広告費に上限がない制度になっているわけですから、当然、資金が豊富な自民党を中心とする改憲派が有利になります。自民党は政党交付金が一番高額なうえに、バックには財界や日本会議、それに神社本庁など、財力のある団体がいます。詳しい試算は省きますが、私は改憲派が300億円から400億円ぐらいの広告費を確保するのではないかと見ています。これに対して護憲派は、運動の中心となる政党すら決まっていないうえに、有力な集金母体もありません。カンパに頼るしかなく財政面でも格段に劣ります。

 こうした状況に加えて、改憲派のPR活動は、昔から自民党の広報を引き受けてきた電通が担当する可能性が濃厚です。

電通の特権

――一般的に広告主が電通と提携した場合、他の広告代理店と比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

本間 電通は日本の広告業界で、約4割のシェアを占めています。あらゆる広報活動のノウハウを持っています。単に広告を制作するだけではなく、テレビCMを放映したり、新聞広告などを掲載するために必要な放送枠や広告枠を確保する際、他社よりも圧倒的に優位な交渉権を持っています。たとえばゴールデンタイム(午後7時から11時)の1時間番組とセットになったCM枠が8枠あるとします。そのうちの6枠を、あるいは7枠を電通が優先的に買い取るというふうになります。

 なぜ、電通にそんな特権があるのかといえば、それは長い歴史のなかで、電通が常にそこにCMを入れてきた実績があるからです。それゆえに優先交渉権を与えられたわけです。同じことは、新聞や雑誌の掲載枠についても当てはまります。ですから電通と提携すれば、ゴールデンタイムなど、視聴率の高い時間帯にテレビCMをどんどん流すことができるのです。

 電通以外の広告代理店と提携した場合、視聴率の低い深夜の時間帯にしかCM枠が獲得できないこともままあります。CMのスポンサーが電通と博報堂に同じ金額の広告費を支出しても、電通のほうが視聴率の高い枠を多く取ることができるのです。ですから改憲派が電通と提携した時点で、少なくともPR戦略では勝敗を決したといっても過言ではありません。

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