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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国、米軍に韓国軍の指揮下入りを要求…在韓米軍撤退なら在韓邦人保護に支障も

文=渡邉哲也/経済評論家

米軍は北朝鮮に攻撃しやすくなる可能性も

 しかし、見方を変えると、また違った可能性があることにも気付く。戦作権返還後の未来連合司令部は、あくまで韓国軍のものでありアメリカが主導するものではない。つまり、アメリカとしては「韓国軍の司令部に協力する」「情報将校を貸与する」という形式を取ることができる。

 そして、将来的に韓国から陸上部隊を撤退させる理由に使うこともできるのだ。すでにアメリカは在韓米軍を縮小しており、基地などをソウル周辺から後退させて釜山に集約している。戦作権が返還されれば、それを理由に完全にソウルから引き揚げさせることもできるわけだ。

 これには、韓国とアメリカの間に認識のズレがあるのだろう。韓国としては、在韓米軍を含めて、これまで通りの条件で米軍を指揮下に置きたい。しかし、その願いがかなうはずもなく、逆にアメリカに陸上部隊を撤退させる理由を与えることにもなり得るわけだ。

 そのため、戦作権の返還が合意に至る可能性は意外に高いのかもしれない。現在、アメリカは北朝鮮を攻撃するための準備を整えているとされるが、一番の問題は韓国国内の米軍および関係者が危険にさらされることだ。

 軍事衝突が起きれば韓国、特にソウルに被害が及ぶことは避けられず、そのため在韓米軍は釜山に後退してきたという経緯がある。ここで戦作権が返還されれば、ソウルから引き揚げたい米軍にとっては渡りに船であり、同時に空と海からの攻撃を仕掛けやすくなるという見方もあるわけだ。

 ちなみに、今月24日から、在韓米国人のより実践的な避難訓練も始まることになっている。今回の訓練はパスポートを所持して指定の避難所に集合し、その後日本まで避難するというものであり、一部の人たちは実際に日本への退避を経験することになっている。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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