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「雑草系臨床心理士・杉山崇はこう考えます」

日本国民は、自民党に「ほどよく」政権担当を継続してほしい…バッファー・プレイヤー回帰

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写真:ロイター/アフロ

 衆院選も大詰めですね。政策論争も賑やかです。各党とも自分たちの公約が国民にもたらすメリットや実現可能性をアピールしています。各メディアの議席獲得予想では、自民党の優位が伝えられています。希望の党はやや失速し、立憲民主党と野党第一党を争う構図となっています。

投票先を迷う浮遊層――政策、実現能力、イメージ、ニッチ


 一方、有権者である私たちも楽ではありません。日本の有権者における「支持政党がない層」は50%前後で推移しているといわれています。多くの方が「どう投票しようかな」とお迷いのことと思います。

 政策の良し悪しは当然のことながら、その実現能力も見極めなければなりません。「言うだけで何もしなかったなあ」と思われる政治家や政党には投票をためらうでしょう。また、候補者・政党のイメージやキャラクターももちろん気になります。「選挙の時は低姿勢だけど、態度が横暴だしな……」という候補者にも投票する気になりませんね。

 国政のバランスを考慮すると、ニッチな政党も無視できません。政権担当能力には疑問符がついても、国政のバランスのために入っていてほしい政党や議員がいるかもしれません。後悔しないためにも、十分に考えて投票しましょう。

日本はバッファー・プレイヤー回帰?


 ところで、日本人の投票行動の特徴を表す言葉に、「バッファー・プレイヤー(buffer player)」という用語があります。バッファーとは「和らげる」という意味です。つまり、誰かに権力が集中することを和らげる行動を取ることをバッファー・プレイといいます。

 戦後の日本は自民党が長く政権を担っていました。政権担当能力への信頼がとても高かったわけです。そこで、多くの国民は、政権は自民党にとってほしい一方、権力を信じきれないもの。あまり権力が強くなりすぎても心配、ということで、「自民党を政権から転落させないけど、大勝もさせない」という投票行動をする有権者が比較的多かったのです。

政権担当を任せて安心?


 1990年代以降、日本経済の失われた20年のなかで、自民党以外の政党も政権担当能力を発揮するようになり、日本人のバッファー・プレイは終わったかに見えました。しかし、たとえば民主党(現民進党)政権では日本経済は回復せず、国益を損ねるように見える政策も続いたため、自民党が政権に復帰しました。

 その結果はどうだったでしょうか。アベノミクスによる経済成長は庶民には実感がない、ともいわれていますが、たとえば20年前には考えられなかったような求人難が起こっています。「政権担当はやはり自民」と無意識的に感じている有権者も多いのではないでしょうか。

 しかし、その一方で「自民党に権力を預けすぎても心配」という日本人独特のバランス感覚が働いているようです。自民党優位と報道されていますが、マスコミ各社による議席獲得予想では自民党単独で概ね50%前後です。どうやら日本人はバッファー・プレイヤーに回帰したといえるのかもしれません。

 アベノミクスが真の経済成長をもたらしたかどうかは、評価が分かれます。しかし、国民の多くはドラスティックな変化ではなく、「自民党に“ほどよく”政権担当を続けてほしい」と思っているようです。失われた20年を取り戻したい国民が多いようにみえます。

 さて、どう投票するべきか、私もそろそろ答えを出さなければ。みなさんも、ご一緒にギリギリまで悩みましょう。
(文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士)

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