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病院へ通院「不要」に…自宅にいたまま遠隔医療が本格普及、高齢者や認知症患者の負担減

文=吉澤恵理/薬剤師

 それでも現行法上、遠隔医療を受ける場合でも初診はクリニックでの直接受診が必要となっている。そして、その後に遠隔医療を受ける場合、「予約料」が発生する。この予約料については、クリニックによって違いがあるので、自分が受診するクリニックへ問い合わせをしたほうがいいだろう。

医療機関同士でも利用すべき遠隔医療

 遠隔医療が注目される点は、医療の質の向上や効率良く医療の提供を実現するオプションとなり得るところにある。遠隔医療の定義は広い。たとえば、かかりつけ医ではなく、検査等で大学病院などを受診する場合に、医師同士でネットを通じて画像や検査結果などの情報を共有したりディスカッションすることも遠隔医療のひとつだ。病院を移るたびに検査するという無駄がなくなり、患者負担が減ると同時に医療費抑制の面でも有益な医療機関の連携を実現することが可能となる。

 また、認知症の予防・治療に力を入れる今野氏は、来る超高齢化社会において遠隔医療の担う役割は大きいと話す。

「高齢化社会が進むにつれ、在宅診療の利用者が増えることが想定されます。在宅診療の定期的な訪問のほかに、診察が必要な場合などに遠隔医療による診察をサポート的に行うことができるでしょう」(同)

 今月、千葉大学医学部付属病院が東日本電信電話(NTT東日本)と「地域包括医療連携の実用に向けた共同検討プロジェクト」を実施すると発表した。プロジェクトでは、NTT東日本が千葉大学で複数の講義を行うなど、遠隔医療の担い手を育成する教育を行う。将来的には、専門医とかかりつけ医の効率の良い連携により、患者にとって有益かつ的確な診療ができる仕組みの実現を目的としているという。

 この報道を見ても、遠隔医療を提供する側の体制が整っていない現状がうかがえる。しかし、このような現状でも患者のために遠隔医療を実施する今野氏は、まさに遠隔医療の先駆け的存在といえる。今後、このような医師が増えることを期待したい。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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