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成馬零一「ドラマ探訪記」

『ひよっこ』スピンオフがテレ東で?『ユニバーサル広告社』が反則スレスレのおもしろさ

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金曜ドラマ8時『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』」より
 作品のクオリティと執筆量の多さにおいて、今のテレビドラマシーンでもっとも重要な脚本家が岡田惠和であることは間違いないだろう。


『ビーチボーイズ』や『最後から二番目の恋』(ともにフジテレビ系)といったヒット作を多数手掛け、最近では三度目の連続テレビ小説(以下、朝ドラ)となる『ひよっこ』(NHK)を大成功させた。

 準備期間も含めれば2年以上かかり、心身ともに疲弊する朝ドラのようなビッグプロジェクトを書き終えた後なのだから、普通の脚本家ならしばらく休んでもおかしくない。しかし、岡田は早くも新作ドラマの脚本を手掛けている。

 タイトルは『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』(テレビ東京系)。寂れた商店街に引っ越してきた零細広告会社の社員たちが主人公のドラマである。

 まず目を引くのは、キャスティングだろう。主演を務めるのは、『ひよっこ』で主人公の父親を演じた沢村一樹。ほかにも、和久井映見、三宅裕司、やついいちろうといった、先日まで『ひよっこ』に出演していた俳優が出演しており、話題となっている。

 どの段階でキャスティングが決まったのかはわからないが、朝ドラのスピンオフのような作品が他局のドラマとして放送されていること自体が反則スレスレでおもしろい。

 出演俳優と脚本家が同じため、物語自体もどこか『ひよっこ』と地続きに見える。1960年代の高度経済成長の上り坂の時代を描いた『ひよっこ』に対して、現代が舞台の『ユニバーサル広告社』は、どこもかしこも寂れている下り坂の日本の現状が強く表れている。そのあまりの寂れっぷりには、もはや笑うしかないという感じだ。

岡田惠和の経緯をなぞったかのような物語


 何よりおもしろいのは、本作がテレビ東京系の金曜夜8時枠で放送されているということだろう。

 テレビ東京は、ここ数年は上り調子だが、かつては“番外地”と呼ばれる弱小テレビ局だった。深夜ドラマは盛況だが、ローカル局で予算も少ないということもあって、ゴールデンタイムのドラマは苦戦している。

 この金曜夜8時枠も、今の地上波ドラマのなかでは“辺境の地”である。だからこそ、『三匹のおっさん』シリーズや『釣りバカ日誌』シリーズのような、他局ではやらないようなドラマが時々生まれる。しかしながら、その枠に岡田のようなNHKや民放ドラマで活躍していた人気脚本家が参入すること自体、昔なら考えられないことだろう。

 沢村が演じる主人公の杉山は、もともと一流広告会社のトップクリエイターだったが、喧嘩したことで会社をクビになる。なかなか再就職先が決まらないなか、ユニバーサル広告社という小さな広告会社に流れついた。

 物語は、その会社が地方の寂れた商店街に引っ越すところから始まる。そんな杉山の遍歴自体が、先日までテレビドラマの花形といえる朝ドラで書いていた岡田がテレ東という辺境の地で次回作を書くという経緯自体をなぞっているように見える(岡田は杉山とは違い、今も引く手あまたの人気脚本家だが)。

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