社会に出ると、入社初日からメール・電話対応・文書作成に会議と、学生時代は知らなかった「社会人特有のコトバ」に直面する。
また、ベテラン社会人でも自分が「正しい」と思って使っていた言葉が、上司や先輩、取引先から指摘で「実は間違っていた」と気付かされた経験が、一度や二度はあるのではないだろうか。
『社会人の日本語』(クロスメディア・パブリッシング刊)では、現役コピーライターとしてビジネスの現場で活躍しながら「漢字教育士」としても活動中の山本晴男氏が、そんな社会人が「つまずきやすい言葉」を約300語にわたって徹底解説している。
「日本語のミス」は、あなたの信用をガタ落ちさせてしまう
言葉を駆使する政治家をみても、たった一言の失言やほんの少しの「言葉のミス」から、信用を失墜させてしまうケースはよく見受けられる。社会人にとっても、折角、能力や人柄を評価されて入社した会社で、日本語で失敗をしてしまうのは、あまりにもったいないことだ。
困ったことに、社会に出るとそういった「ミス」を誰かが指摘してくれることは少なくなってくる。そうなると、学ぶ機会を持たなければ、案外日本語の知識や理解というものは広がらない。日本語の「読み方」や「使い方」を誤解したまま時が過ぎ、ある日、ふとした瞬間に上司や得意先から指摘されて赤っ恥をかく、といったことも十分に起こり得ることなのだ。
御礼の意味で送ったメールで、取引先から怒られた!
例えば得意先にメールを送るケースを考えてみる。前夜の会食の御礼を、翌朝取引先にメールで伝えるとしよう。
「取り急ぎ」という言葉は、社会人になると頻繁に使う日本語で、「何よりも先に」といった意味と理解している人が多い。御礼を伝える際のメールの文面に使用する人は少なくないはずだ。
ただ、「取り急ぎ」という言葉には「本来の手続きを略して、用件のみ伝える」というニュアンスが含まれる。上記の意味を正確に理解している人ならば、「取り急ぎ」という日本語は、御礼の意を伝える場合には適切でないことがわかるはずだ。
「ダイバーシティ」ってどこの都市の名前?
言葉は生き物で、日々変化するもの。特にカタカナ語は、毎年のように新たな言葉が生まれ、流布している。
ビジネスの現場でよく目にするカタカナ語をア行から思い浮かべてみても、アウトソーシング、アジェンダ、アテンド、インセンティブ、ウインウイン、エビデンス、オファー……、と数限りない。
新入社員にとっては初めて出くわす言葉も多く、ベテラン社会人でもキャッチアップしていくのは中々大変だ。上に挙げたのは、それらの中でも普遍的なもの。あなたは全て意味を理解しているだろうか?
「基本、まかせる」の本当の意味は?
社会人が使う日本語には独特の言い回しもある。上司や得意先からの言葉を、いつも額面通りに受け取るのは、純粋すぎると言えるだろう。
例えば「基本、まかせる」というセリフ。上司からこう言われて、「まかせて貰えた!」などと有頂天になるのはまだ早い。カイシャで使われる「基本」という言葉には「今はとりあえず」というニュアンスが含まれている。たまたま上司は他の案件で忙しく、今はかまっていられないという意味で使っている場合も少なくない。あとで、「まかせるなんて言ったか?」とばかりに、口うるさく指示が入るのが常なのである。
そんな、カイシャ言葉のウラ(真意)についても、早いうちから学んでおくと役立つことは多いはずだ。
言葉を「武器」にして、一目置かれる存在に
「言葉のミス」はあなたの評価を下げる要因となるが、逆に言葉を適切に使えれば、それはあなたの「武器」にもなる。
本書では「趣旨・主旨」「代わる・替わる」「改定・改訂」といった「使い分けたら一目置かれる同音異義語」や、年配の経営者が好きな「四字熟語」等についても網羅している。若手ビジネスパーソンは社会人生活を言葉でつまずかないよう転ばぬ先の杖として、ベテラン社会人にとっては、今一度言葉を学び直す機会として、本書を活用してみるのはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。